みなさんは普段お酒を飲んでいますか。
適度な飲酒は、食欲増進やストレスの緩和などさまざまメリットがありますが、その反面、飲み過ぎると、臓器障害やアルコール依存症など健康被害を引き起こします。
そんな、良い面も悪い面もあるお酒を医師たちはどのくらい飲むのでしょうか。
そこで今回は、医師の飲酒の状況について、さまざまな診療科の医師3927名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2014年8月15日から同年8月21日にかけて行われ、3927名から回答をいただきました。
医師の飲酒率は一般人とそう変わらない
今回の調査では、医師に
- ほぼ毎日
- 週4~5日
- 週2~3日
- 週1日程度
- 月に2~3回程度
- 月に1回以下
- 飲酒はしない(アルコールは飲めない)
- その他
の中から当てはまるものを選択してもらう形式で行いました。
その結果がこちらです。
ここで、一般人と比較してみましょう。
2003年と少し古いデータになりますが、厚生労働省によれば、年齢別の飲酒率の全国平均は下の図の通りです。
こちらのデータとよく比較するために、図1で示したデータを年代別に加工してみます。
なお、図2における「飲酒者」が「過去1年間に最低1回飲酒をしている者」とされているので、今回は選択肢の1〜5、つまり月1回以上飲酒すると回答した医師を「飲酒者」として定義しました。
その結果がこちらです。
結果を見ると、医師も一般人と変わらない飲酒率なようです。
お酒は、ほどほどであれば健康には問題ないのかもしれませんね。
ちなみに、女性、特に高齢層になると一般人よりも飲酒率が高くなるように見えますが、こちらはサンプル数の不足によるものの可能性があります。
今回の調査で協力してくれた女性医師は510名、70代女性の医師は3名しかいなかったので、誤差が生じる可能性が高いことをここに記しておきます。
毎日飲む医師は「検査で異常値は出ていない」「少量なら問題ない」
図1で示した通り、医師の5人に1人がほぼ毎日お酒を飲むと回答しています。
毎日お酒を飲むことは、身体に悪くないのでしょうか。
毎日お酒を飲むという医師のコメントは、
- いっぱい飲んでも検査で異常値が出たことがないので問題ない
- 少量なら問題ない
の2つに大別できる結果となりました。
「異常値は出てないから大丈夫」派の医師のコメント
- 60代男性 一般内科医
毎日風呂上がりのビールののど越しが快感です。毎月肝機能、脂質など採血していますが全く正常。年一回の胸腹部CTも異常なしです。 - 50代男性 循環器内科医
ワイン、焼酎、ビールを飲みます。週換算で日本酒にして2升程度、たまに5升を超えることも。50歳を過ぎましたが、肝機能は今まで異常値になったことはありません。 - 60代男性 一般外科
当直の日以外は毎日飲みます。肝機能は正常です。
「少量なら問題ない」派の医師のコメント
- 50代男性 一般内科医
夕食時に、缶ビール350mlと野菜中心の副菜を食べます。休前日以外は、ほぼこの1缶のみです。患者にも、適量(いわゆる、缶ビール500ml以下)の飲酒は、基本的に禁止しません。 - 50代女性 神経内科医
1合弱くらい、毎晩晩酌しています。飲まない日は月に1〜2日程度です。あまり沢山は飲めないので、飲み会でも同様です。 - 70代男性 一般外科医
以前は酒量も多かったですが、脳梗塞を体験したこと機に減酒し、毎日飲みますけどビール350mlを1缶で自重しています。
全く飲まない医師の中には医師ならではの理由をあげる方も
逆に全く飲まない、という方はどうでしょうか。
お酒を飲まない方の中には、一般の方と同様に「気持ち悪くなるから飲まない」といった、体質的な理由を上げる方が多くいらっしゃいました。
しかし中には医師ならではと言える理由を述べ、お酒を飲まないことにしている方も複数名いらっしゃいます。
- 30代男性 一般内科医
酒はここ数年飲まないようにしています。医師たるもの他人に断酒をすすめる以上、自分が飲んでいると説得力が無くなると思いますので。 - 40代男性 一般内科医
患者さんに禁酒指導をする立場ですので、自分が飲酒しているときついことが言えません。 - 40代男性 脳神経外科医
学生時代は飲んでいましたが、仕事柄、いつ呼ばれるかわからない生活のため、飲まなくなりました。 - 50代男性 脳神経外科医
入院患者を持つ以上、いつ呼び出されても良いようにアルコールは飲みません。 - 60代男性 脳神経外科医
緊急呼び出し、手術時にアルコールが入っている状態で対応されたいか? 患者の立場になって考えてみれば自明です。
医師ならではといえる理由としては、上記のように
- 喫煙と同様、禁酒・減酒を指導する立場を踏まえての意見
- 病院からの緊急呼び出しにいつでも対応できるように、とする意見
の2つが主だったものです。
また、「病院からの呼び出しに備えて」とコメントしたのはほぼ全員が脳神経外科医の先生でした。
あらゆる診療科の中でもとくに繊細な対応が迫られるだけに、常に自分のコンディションをキープしているのかもしれません。
お酒は医師も普通に飲んでる。ただ量には要注意
医師も一般人と同様、普通にお酒を嗜んでいるということが分かりました。
しかし、適量を意識している方はとても多い印象を受けました。
厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」を1日当たりアルコール20gとしています。
これは、「ビール中瓶(500mL缶)1本」「日本酒1合」「酎ハイ(度数7%)350mL缶1本」などに相当します。
女性であれば、これよりも少なめを意識すると良いようです。
たくさんお酒を飲む方であっても、検査の数値には気を配っている医師がほとんどでした。
わたしもそうですが、お酒が好きな方の場合はなかなか適量に収めるのも難しいかもしれません。
少なくとも、運動やその他の食生活、健康診断の結果など、自分の健康状態に気を配りながら、より長くお酒を楽しめるようにしたいですね。