先日、便秘の改善法について記事を公開しました。
ご覧いただけましたでしょうか?
そしたら、個人的にこんな質問をいただきました。
「乳酸菌って効かないの?」
たしかに気になりますね!
テレビとかでも、「生きた乳酸菌が腸に届く」みたいなフレーズって死ぬほど聞きますしね。
最近では「菌活」だの「腸活」なんて言葉もあるらしく、便通どころか健康に対する効果がやばいということで、注目度がうなぎのぼりらしいです。
乳酸菌といえばヤクルトやピルクルなんかの乳酸菌飲料が有名ですが、今回は「乳酸菌って本当に健康にいいの?」を確認するため、医師が処方できる乳酸菌製剤をテーマに4600人にアンケート調査を実施しました。
乳酸菌製剤は乳酸菌を固めたものだと思っておけばOK
そもそも、乳酸菌製剤って何よ?って感じだと思いますが・・・
いったん、乳酸菌を固めて閉じ込めた薬だと思っておけばいいです。
あまり詳しいことを書くと難しくなってしまいますし、いたるところからツッコミが入るので、ここでは割愛させてください。
さて、乳酸菌製剤は薬なので、医師が処方することができるんです。
ビオフェルミンとかラックビーが有名ですね。
今回の調査では、「乳酸菌製剤は健康に役立つと思いますか?」と質問し、
- 【効果がある】効果を体験した
- 【効果がある】効果を体験していない
- 効果はない
の中から自身の考えに最も近い選択肢を選んでもらいました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年1月18日から同年1月24日にかけて行われ、4573名から回答をいただきました。
医師の9割が「効果あり」

アンケートの結果、あわせて9割弱の医師が「効果がある」と回答しました。
すごいですね。
普通に考えて乳酸菌なんて胃で全部死んじゃいそうなものですが、9割近くの医師は効果があると考えているわけです。
(しかも、効果があると考えてる医師の6割は実際には効果を体験してないのに信じてる)
実際に効果を体験している医師のコメント
ここで、実際に乳酸菌の効果を体験している医師のコメントを紹介します。
- 40代女性 家庭医療
本当にインフルエンザ予防になるのかな?と半信半疑で食べるマスク(乳酸菌タブレット)を食べ初めました。すると、当初の目的とは異なり、数日でお腹の調子が非常によくなりました。一度中断すると元通り、そして再開したらまた改善しましたので、本当に効果はあるのだと思います。 - 50代男性 形成外科医
私は結構大量に飲んでいます。乳酸菌製剤を1回あたり10錠、1日に20〜30錠内服することもあります。体調はすこぶる順調、肌の艶も良いです。勝手に「ビオフェルミン大量療法」と呼んでいます。(編集部注:マネするなら医療機関で相談してからにしましょう) - 80代男性 老年内科医
4年前から某ヨーグルトを施設入所者に一日おきに飲ませています。すると必ず年に1~2回は流行していたインフルエンザが、以降は施設内での流行がぴたりとなくなりました。
実際に自分で試している方や、患者に対して処方をし、実際に効果を感じている医師が多いようです。
効果は体験してないけど、「効果あり」とした医師のコメント
実際に効果を体験していないのに、なぜ効果があると考えているのでしょうか。
いくつかコメントを紹介します。
- 40代男性 一般内科医
腸内細菌の作用等から、理論的に効果がある可能性はあると思われます。ただし用量や乳酸菌の種類等、検討されるべき課題が山積です。従って、まだ臨床的に有効とは断定できません。今後解明されることを期待します。 - 40代男性 消化器内科医
何らかのメリットを生むことを期待して処方していますが、具体的な効果を実感するには至っていません。数百〜数千種の菌が生息しているとされる消化管に、単一~数種の菌を投与することがどれだけメリットを生むのかは証明されておらず、疑問点が残ります。 - 40代男性 心療内科医
腸内環境が整えば、いわゆる消化器症状だけでなく、免疫系にも良い影響があると思います。
腸内環境の重要性や、そこにおける乳酸菌の役割・働きを踏まえ、証明はされていないものの、一定の効果を期待できるとする医師が多いようです。
実体験の有無によらず、効果があるとする医師の中には関節リウマチやアレルギーなど、お腹の調子をととのえる以上の効果を期待している医師も複数いました。
消化器内科だけに絞っても結果は同じ
ちなみに、今回のアンケートに協力した医師の中には、心療内科や精神科、整形外科など、専門外の医師もたくさん含まれています。
そこで、念のため消化器内科を専門とする医師のみでも結果をまとめましたのでご確認ください。

今回の調査に協力してくれた医師の中に、消化器内科を標榜する医師は全部で304名いました。
その医師たちの回答割合をまとめたのが上記の図2です。
消化器内科の医師に絞っても医師全体とほぼ変わらない結果になることがお分かりいただけるかと思います。
効果がないとする医師は「証明されていないから」
逆に、乳酸菌製剤に健康に対する効果がないと回答した医師はどのように考えているのでしょうか。
コメントをいくつか見てみましょう。
- 30代男性 消化器内科
成人についてはエビデンスに乏しいと考えます。期待はしたいですが、数百〜数千種の菌が、合わせて数百〜数千兆も腸内にいることを考えると、そう簡単に腸内環境を変化させることはできないでしょう。 - 50代男性 消化器内科医
まったく効果がないとは言いませんが、あくまで栄養素の一つという認識です。特段「健康に効果がある」とは言えないのではないでしょうか。 - 40代男性 消化器外科
エビデンスがあるわけではないと思うので、現時点では「効果はない」と言わざるを得ません。いわゆるプラセボ効果(プラシーボ効果)程度なら期待できるかもしれませんね。
論文などによる証明が乏しいことを指摘し、効果はないとする医師がほとんどでした。
ヤクルト、マジですごい説
ここまで紹介した通り、医師の中でも否定派はいますが、9割近い医師が乳酸菌製剤に一定の効果があるとしていることは事実です。
で、乳酸菌製剤にはどのくらいの乳酸菌が含まれているのか調べてみたのですが、某有名乳酸菌製剤1日分で約9億個の乳酸菌が含まれているらしいです。
それに対し、なんとヤクルトには例の小さな容器1個で400億個の乳酸菌が入っているのだとか。
ヤクルトすごすぎ。
ヤクルトに含まれている乳酸菌シロタ株についての論文は大量にあるので、もしよかったら読んでみてください。
下に示すのはヤクルト中央研究所のサイトで公開されているページですが、Google先生に聞けば外部の論文もいくつか見つかります。
※ 注:ヤクルトさんの回し者ではありません。
個人差があるけど、一定の効果は期待できそう
効果は証明されていないものの、医師の経験上、乳酸菌には健康に対して一定の効果が期待できそうです。
ただし、もちろん個人差もあると思うので、あまり盲信しすぎるのもよくないでしょう。
また、「逆に脂質異常症の患者の病態を悪化させることがあります(50代男性 一般内科医)」といったコメントもありました。
乳酸菌を摂取していて何かしらの体調不良があった場合や、健康診断での異常が見つかった場合等は接種を中止し、医師に相談するようにしてください。