お風呂に入る時、からだを洗う際はボディソープなどの洗浄剤を使うのが一般的です。
でも最近、「からだを洗う際はあまり洗浄剤を使用すべきではない」とする意見もあるのをご存知でしょうか?
理屈としては、露出していない部分の肌の汚れは皮脂や垢など、水溶性のものがほとんどのため、洗浄剤を使う必要性は限定的ということらしいです。
たしかに言われてみれば、シャンプーやボディソープって科学的な感じがすごいしますし、お湯で流すだけのほうが自然な感じがします。
そこで、今回は以前メドピアでとった3500人に協力していた板アンケート結果がありますので、そちらをご紹介いたします。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2014年2月26日から同年3月4日にかけて行われ、3531名から回答をいただきました。
「洗浄剤は必要」派が僅差で上回る
この調査は、
- 不要
- どちらかというと不要
- どちらかというと必要
- 必要
- その他
の中から、医師本人の考えに最も近いものを選択していただく形式で行われました。
その結果が下記の図1です。

「不要」「どちらかというと不要」と回答した、いわゆる“不要派”の医師は全体の41%いました。
これに対し、「必要」「どちらかというと必要」と回答した、いわゆる“必要派”の医師は全体の49%と、僅差ではありますが必要派の医師が上回りました。

男女別にみても、特に回答の割合は変化しませんでした。
調べてみるまでは「女性の方が“必要派”が多めかな?」と予想していたいので、むしろ逆に(わずかながら)女性の方が必要派は少ないという結果になりました。
また、皮膚科や美容・アンチエイジングを標榜する医師の回答を見ても、医師全体での傾向と違う特徴は見られませんでした。

“必要派”の医師は「適切な量を正しく使うべき」
「必要」「どちらかというと必要」と回答した医師のコメントを一部ご紹介します。
- 40代男性 一般内科医
皮脂は95%程度が水分からなっているそうですが、残りの油分の洗浄はある程度の洗浄剤が必要でしょう。水だけですべてが取れるわけではないはずですので、「不要」とまでは言えないと思います。 - 50代女性 皮膚科医
年齢や季節、アトピーの有無や汗の量など、さまざまな要因で必要性が変わってくると思います。基本的には洗浄剤は必要最小限でいいと思いますが、間擦部(脇の下など、皮膚がこすれる場所)・発汗部などには使用して欲しいです。むしろ、洗浄剤を原液でなくよく泡立てること、ナイロンタオルなどでゴシゴシこすらないことなどのスキンケア指導が重要だと思います。 - 50代女性 老年内科医
合成界面活性剤の使用は、過度の脱脂・脱水の元なので良くないです。石けんならば、薄めることでそれを防止できます。最近、高齢化による入浴頻度の減少、あるいはネットの情報を鵜呑みにすることから、洗浄剤を全く使用しないことによる“あかつき病”の患者さんが増加したように思います。 - 40代男性 アレルギー科医
ガシガシ洗う必要はありませんが、せめて石鹸の泡でやさしくなでるように洗って、よく洗い流すのを普段から心がけるよう説明・指導しています。石鹸や洗浄料で皮膚にトラブルが生じる場合は、控える様指示しています。
全体を通して、「強くこするなどの方が肌に良くない」という意見が多く見られました。
洗顔についてよく語られるように、全身を洗う際も石鹸やボディソープをよく泡立てて、優しく洗ってあげるのがよいようです。
また「毎日使う必要はない」や「汗をかく場所だけで十分」とする医師も多くいました。
“不要派”の医師は「人体にとっては異物」
次に、「不要」「どちらかというと不要」と回答した医師のコメントをご紹介します。
- 30代男性 アレルギー科医
洗浄剤は人にとっては異物であり、アレルギー反応を起こすケースも多いと思います。そのため夏場は汚れがひどく、体臭が強くては仕事に支障を来すと考えて洗浄剤を使用しますが、冬場は汚れも少なく、体臭は比較的弱いであろうと考えて洗浄剤を使用する機会を減らしています。患者さんにも、同様に説明することが多いです。(但し、重症な皮膚病をお持ちの方には、洗浄剤を使わずに様子をみるよう説明します) - 40代男性 一般内科医
陰部や脇の下をのぞけば洗浄剤は不要です。過敏肌に皮脂をとる行為を行うことで、アレルゲンへの抵抗性が弱くなっていると日常でも感じており、アトピーの患者さんには徐々に石けんを使わなくするよう指導を行っています。 - 40代女性 美容・アンチエイジング
皮質や垢は水溶性ですから本来石鹸洗浄は不要と考えます。ただ、油性のヘアワックスやスプレー、保湿剤、ボディークリームなど、様々なお化粧品類をお使いの場合は水やお湯のみでは落ちません。従って、そういったものを使用している方には低刺激の石鹸による洗浄をおすすめしています。
「洗浄剤は本来人体にとって異物であり、近年はアレルギーの原因になることもある」といった意見をあげる医師が多数いました。
ただし陰部や汗をかきやすい脇の下などは、洗浄剤を使ってよく洗ったほうがいいとする医師も多かったです。
自分に合う範囲で使用量を減らすのがいいのかも
この調査と直接関係はないのですが、
- 40代男性 精神科医
怖いのが、いまだに「徹底的に除菌!」と煽るCMです。幼いときに免疫寛容(アレルギー物質に対して体が過度に反応しないようにすること)をつくっておかないから、これだけ花粉症で皆が苦しんでいるのだと考えています。イギリスでは、幼いころに牛舎で過ごした子供は花粉症にならなかったというデータも出ています。花粉症は社会的病気の面が強いのかもしれません。
汚れを過度に気にしすぎるのはよくないとする、こういったコメントもいただきました。
ただし、全く洗わないというのも気持ち的にいいものではありませんので、
- 洗浄剤を使うのは1日おき
- 陰部や脇の下などにだけ使う
- 冬場は夏場よりも気持ち少なめを心がける
など、自分にあう範囲で、洗浄剤の使用量を少しずつ減らしてみるのもいいかもしれません。