糖質制限は危険なの? 医師3600人にアンケート調査

糖質制限中なのでご飯は残す
糖質制限食によるダイエット効果はほとんどの医師が認めています。ただし長期的な継続による健康への影響は明らかになっていないので、専門家の指導のもと、適切に行うようにしましょう。体型を維持することを考えれば、栄養バランスを考えて腹8分目の食事をするのが一番です。
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イシコメを運営しているメドピアでは、昨年、1500人の管理栄養士ネットワークを活用したダイエットサービスを提供しているフィッツプラスを仲間に加えました。

参考:正しく食べて健康的にやせる | ダイエットプラス

以来、社内でダイエットをしている人がちらほら・・・
わたしもその一人だったりします。

管理栄養士さんと話していて印象に残ったのが「炭水化物は抜かない方がいい」というセリフ。

最近は糖質制限ダイエットなんかが注目を浴びていて、炭水化物が親の仇のように認識されつつありますよね。
わたしも炭水化物を抜く“糖質制限ダイエット”に挑戦したことがありますが、1ヶ月で3キロくらい痩せることができました(その後絵に描いたようなリバウンドをしました)。

効果はあるけど、特定の栄養素を極端に抜いたら、明らかに体に悪そうな気もします。

以前、メドピアで医師向けに「糖質制限食についてどう思うか」というアンケート調査を実施し、3600人の医師から回答を頂いていましたので、今回はその結果をご紹介したいと思います。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2015年8月5日から同年8月11日にかけて行われ、3601名から回答をいただきました。

8割の医師「おすすめはできない」

このアンケートでは、

  • 1. 【経験あり・実践中】効果あり(体重減少など)。患者さんや周囲に勧めたい
  • 2. 【経験あり・実践中】効果あり(体重減少など)。患者さんや周囲には勧めない
  • 3. 【経験あり・実践中】効果なし
  • 4. 【経験なし・実践しない】周囲に勧めたい
  • 5. 【経験なし・実践しない】周囲には勧めない

の中から、自身にもっとも近いものを選んでいただく形式で行われました。
その結果が下記の図1です。

図1 糖質制限食についてどう思うか

ただし、このままでは少しわかりづらいので、ここからは少しずつデータを整えながらご紹介しますね。

図2 糖質制限を周囲に勧めたいですか?
  • 1. 【経験あり・実践中】効果あり(体重減少など)。患者さんや周囲に勧めたい
  • 4. 【経験なし・実践しない】周囲に勧めたい

を“周囲に勧めたい”としてまとめ、

  • 2. 【経験あり・実践中】効果あり(体重減少など)。患者さんや周囲には勧めない
  • 5. 【経験なし・実践しない】周囲には勧めない

を“周囲には勧めない”としてまとめました。
なお、

  • 3. 【経験あり・実践中】効果なし

については“その他”としています。
この結果を図示したのが上記の図2です。

これを見ると、全体の8割弱の医師が糖質制限食を人には勧められないと考えていることがわかります。
周囲には勧めないとしている医師のコメントを一部ご紹介します。

  • 70代男性 一般内科医
    運動もしていますが、(糖質制限の効果で)数ヶ月で体重が一割落ちました。しかし他人には勧めません。本当にこの食生活で良いのか分かりませんから。
  • 50代男性 総合診療医
    一定期間やってみましたが体重減少、血糖維持に効果があると自分では感じています。しかしこの方法の長期的な効果についてはまだ十分なエビデンスがそろっていないので、きちんと検証が済んでから、一般に進めるかどうするか検討するべきだと思います。
  • 50代男性 産婦人科医
    私は(糖質制限を行い)2か月で7kgの減量に成功しました。真剣にやればきわめて有効だと思います。ただし長期的には、体力の低下・カゼをひきやすくなるなどの弊害が疑われ、いつまでもやらないほうがいいでしょう。
  • 60代男性 一般内科医
    バランスを失った食事制限では、短期的な効果は得られるでしょうが、長期に継続すると代謝系に問題が起こるはずです。仮に起こらないのであれば、近代の栄養学が根本的に破綻します。まぁ、既にコレステロール制限食は、最近になって有効性を否定されつつありますが。
  • 30代男性 形成外科医
    効果はあると思います。ただし、健康に良い、継続して行って良い万人向けのダイエット法には思えません。普通に、バランスの良い腹八分目の食事と、日々の運動に励む事をお勧めします。

実際に自分で体験しているかどうかにかかわらず、多くの方が糖質制限によるダイエット効果をある程度認めているようです。
ただし、栄養バランスの偏りを指摘し、長期的に継続した際、何かしらの不調が出る可能性を指摘するコメントが目立ちました。
医師は糖質制限食について、ダイエット効果を認めつつも、健康に対する長期的な影響がまだ明確になっていないため、積極的に勧めることは出来ない、といったところでしょうか。

3割の医師が糖質制限を経験済み

とはいえ、医師も運動不足でダイエットをしている方も多いようで、糖質制限食を実践したというコメントが多く届きました。

下記は、アンケートに回答した医師本人の糖質制限食の経験有無と、実際の効果があったかをまとめた図です。

図3 糖質制限食の経験はありますか?

結果として、3割弱の医師が実際に糖質制限食を経験しており、そのうち9割近い医師がダイエット効果を実感していることが分かりました。

美容系の医師は倍近くの割合で糖質制限食を経験

また、一部の医師においては、高い割合で糖質制限食を経験していることが分かりました。

図4 美容・アンチエイジング科の医師の回答

それは、美容・アンチエイジングを標榜する医師です。
医師全体に比較して約2倍の割合で、糖質制限食を経験しているようです。

今回のアンケートにご協力頂いた医師の中に、美容・アンチエイジングを標榜する医師は52名含まれていました。
少々人数が少ないので誤差が大きくなる可能性もありますが、それでも倍というのは驚きです。

  • 40代男性 美容・アンチエイジング医
    過度に行うのはいかがかと思いますが、(糖質の)摂りすぎが考えられる場合は意味があると考えます。自分もご飯をおかわりしていたのをお茶碗のサイズを小さめにし、おかわりをやめただけで減量につながりました。
  • 50代女性 美容・アンチエイジング医
    糖質制限をしていた同僚が、よく低血糖症状で点滴をうけていました。限度・コントロールがむずかしいのでおすすめはできません。
  • 60代男性 美容・アンチエイジング医
    若い時には効果がありましたが、年齢とともに効果が薄くなってきます。個人差があるため、積極的には勧めません。

ただし、コメント内容としてはその他の診療科の医師と同様です。
効果は認めつつも、過度な糖質制限は悪影響とし、患者や周囲の人には勧めないとする医師がほとんどでした。

糖質制限食を勧める医師は「専門家の指導で適切にやれば効果的」

8割の医師が「糖質制限は人にすすめることは出来ない」とする中、「人に勧められる」とした医師はどのような考えを持っているのでしょうか。

いくつかコメントを紹介します。

  • 60代男性 代謝・内分泌科医
    糖質制限食や脂肪制限食は、ともにアメリカ糖尿病協会も認めている食事療法の一つです。減量効果はどちらも同一、血糖改善効果は糖質制限食が勝ります。ただ、どこまで糖質を減らしても安全なのかは議論の余地があるところですし、糖質を制限すれば脂肪やタンパク質をどれだけ食べても良いというのも間違いだと思います。「脂肪や糖質を工夫して、適正なカロリーを摂取する」のが正解でしょう。
  • 50代男性 呼吸器外科医
    糖質制限は程度によります。糖質は脳、赤血球などに必須の栄養素のため、摂取なしでは極端すぎて危険です。
  • 40代男性 脳神経外科医
    糖尿病の患者さんか、高度肥満の患者さんのダイエットきっかけ作りとしては効果がありますので糖質制限食を提案します。ただし高度肥満の場合は結構厳密なモニター下で行います。糖質制限の体重減少には個人差もあり、長期安全性が確実に担保されているわけではないので、あまり大きく宣伝もしませんし、無責任に勧めたりはしません。
  • 40代男性 一般内科医
    糖質制限食は、合う人と合わない人がいます。食費も跳ね上がります。合う人にとっては有効な選択肢となりえますが、適切に継続できる人はそう多くはいません。
  • 50代男性 泌尿器科医
    私が試した中で一番効果的な減量法です。しかし真に健康に良いのか、糖尿病患者の長期予後にも寄与するかは今後の成績をみないとまだ分からないと患者に説明しています。

患者や周囲の人にも糖質制限を勧める、という医師についても、

  • 長期的な影響がわからない
  • 極端な制限はよくない
  • 可能なら減量状況をコントロールする

とする医師がほとんどでした。
知識のない素人が糖質制限を行うと極端になりがちとし、専門家の指導を受けることが重要とするコメントが多く見られました。

やり過ぎは禁物。糖質制限はダイエットに効果的だけどリバウンドしやすい

アンケート結果を通して、糖質制限のダイエット効果を認めるコメントが非常に多かったです。
実際、糖尿病や肥満による生活習慣病の治療として糖質制限を行うこともあるそうです。

ただし、長期的に糖質制限食を継続した場合にどうなるかは明らかになっていないので、一時的なダイエットとして行う程度に留めるのが良さそうです。
また、それも医師を始めとする専門家の指導のもと行うようにしましょう。

長期的に体型をキープすることを考えるのであれば、やはり栄養バランスを考えた腹8分目の食事が一番、ということになりそうです。

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