食塩摂取量の目標、守れてる? 医師4000人にアンケート調査

食塩摂取量に注意しよう
医師も一般の方と同様、食塩摂取量を守れている方は限られているようです。塩分の過剰摂取は生活習慣病に直結しますが、個人差やライフスタイルの違いもありますので、普段から塩分を少しずつ減らしていくことを意識することから始めれば良いでしょう。
医療の現場
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「塩分控えめの食事が大切」
最近は、この認識が常識になってきていますね。

実は、日本人は世界の中でも比較的塩分摂取量が多い部類に入ります。

世界保健機関(WHO)が定める食塩接種量の目標は1日5gです。

対して、「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書によれば、日本の18歳以上の方の場合、1日の目標摂取量は男性8g・女性7gとなっています。
男女ともに、WHOの定める目標値よりも大きく上回っていることがわかります。

参考:「日本人の食事摂取基準(2015年度)」策定検討会審議会資料 |厚生労働省

しかもこの基準値は、2年前の2014年4月に改定された数値でして、それまでは男性9.0g/日、女性7.5g/日と現在よりも多く設定されていました。

日本人、塩分とりすぎ!

そんなこと言いつつ、たぶんわたしも全然この目標値は守れていません。
というか、意識できていません。
味噌汁も漬物も、お魚の干物も炊き込みご飯もラーメンも、みんな大好きですごめんなさい。

では、健康のスペシャリストである医師はどうなのでしょうか。
塩分摂取量、守っているんでしょうか。

昨年に4000人の医師から取ったアンケートがありますので、今日はその結果をご紹介したいと思います。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2016年5月30日から同年6月5日にかけて行われ、4021名から回答をいただきました。

一般の人、ぜんぜん目標まもれてない

厚生労働省が出している、「平成26年度国民健康・栄養調査報告」によると、食塩摂取量の目安となるナトリウム摂取量の平均値は

  • 20歳以上の男性:4289mg
  • 20歳以上の女性:3619mg

です。
これを食塩の摂取量に換算すると、

  • 20歳以上の男性:10.9g(目標:8g)
  • 20歳以上の女性:9.2g(目標:7g)

です。

ぜんぜん目標まもれてない!

(守れている人たちがどのくらいいるかのデータを見つけることができなかったので、知っている方がいらっしゃいましたらこっそり教えて下さい。)

医師も目標まもれてない

では、医師の場合はどうでしょうか。

さすがに一人ひとり、塩分摂取量を計算することはできないので、

  • (基準値を)気にしており、目標値を守っている
  • (基準値を)気にしているが、目標値は守れていない
  • (基準値は)気にしていない

の中から、自身に合うものを選択していただく形で調査を行いました。
その結果が下記の図1です。

図1 食塩摂取量の目標値、意識していますか?

6割強の医師が食塩摂取量の目標を意識しているものの、それでも全体の半数の医師は目標値を守れていないということが分かりました。
「気にしていない」と回答した方々が目標値を守れているかどうか不明ですが、おそらくほとんどの方は守れていないのはないでしょうか。

とはいえ、6割もの医師が目標を意識しているというのは驚きです。
わたしたち一般人で言えば、目標値を知っている人がそもそも少ないのではないでしょうか。

一部の診療科の医師は特に目標を意識している

循環器内科、老年内科、腎臓内科・透析をそれぞれ専門とする医師は、特に目標値を意識している割合が高いことが分かりました。

図2 特に多い診療科の回答

特に腎臓内科・透析を専門とする医師は、アンケートにご参加頂いた人数が34名と少ないものの、目標を意識して守れている医師の割合が医師全体の倍となっています。

腎臓内科・透析や、循環器内科の医師は高血圧の治療を行う診療科でもあるので、自然と食塩摂取量の目標に対する意識が高いのかもしれませんね。

また、老年内科は普段から高血圧に悩む患者さんを多くみているからかもしれません。

目標値を守れている医師のコメント

  • 30代女性 美容・アンチエイジング医
    日本人の食事は、味噌汁・漬物など、塩分の多い食品が多いので、意識的に塩分を控えるように気を付けています。血圧を気にする中高年の方はもちろんですが、塩分はむくみの原因にもなりますので、美容を気にする若い世代の方にも塩分控えめをお勧めしています。
  • 60代男性 循環器内科医
    家では醤油もほぼ使用しません。刺身にも醤油もつけませんし、おにぎりに塩はもしません。はじめのうちは味気なくておいしくないですが、慣れてくるとかえって素材の味がわかるようになります。患者にも同様のアドバイスをしています。
  • 50代男性 循環器内科医
    毎日6g以下におさえています。おかげで全く味がしません。普段いかに塩分を摂り過ぎているか、身を持って知ることができます。血圧が高くなってからでは遅い! 君も今すぐ減塩しよう!

目標値を守れていない医師のコメント

  • 80代男性 総合診療医
    一日の摂取量を計算するのは面倒かつ厄介です。毎日計算するのは腎不全でもあれば意義があると思いますが、そうでなければ摂取量を出来る限り少なくすることを意識するだけでもよいかと思います。それで十分とは言えませんが、意味のあることと捉えております。毎日継続するにはこれが精一杯です。
  • 40代男性 一般内科医
    「塩分を過剰摂取し続けると、高血圧になり、血管を内側から傷つけることになる。脳や心臓の血管障害になりますからお気を付けください」と...一応は注意喚起しております。
  • 40代女性 消化器内科医
    自宅で作った食事を測定まではしていません。ですので目標値を守れているかわかりません。しかし、なるべく薄味にしたり、香味野菜など使うことで、塩味だけに頼らないようにしています。

気にしていない医師は「個人差がある」「管理栄養士におまかせ」

食塩摂取量の目標値を特に意識していないという約4割の医師はどう考えているのでしょうか。
コメントをいくつかご紹介します。

  • 40代男性 麻酔科医
    塩分制限が必要な患者さんには「塩分の取り過ぎに注意して下さい」とは言いますが、具体的な数値目標までは伝えていません。厳守するのは難しいことが多いと思いますし、何より食欲の低下につながっては元も子もないと思います。
  • 50代男性 腫瘍内科医
    必要量は労働環境によって違うでしょう。発汗が多い職場では1日15gでも足りませんが、クーラーが効いている汗をかかない職場での仕事は塩分は少しでも問題ありません。
  • 50代男性 一般外科医
    自身で患者さんに具体的な目標値の指導まではしていません。必要な場合も管理栄養士に食事指導の依頼をし、まかせています。

目標値を意識している医師のコメントにも有りましたが、塩分を控えめにした食事は最初味気なく感じてしまいます。
そのため、とくにご高齢の方ですと食欲の喪失につながりやすく、そのデメリットが大きいとする医師がちらほらいました。

また、普段から汗をかきやすい仕事をしている方や、夏場などは発汗によりミネラルを失いやすくなっています。
そういった場合は、目標値よりも多めに取らなければ、逆に注意が必要とする医師もいました。

  • 50代男性 一般内科医
    高齢者はとくにエアコンをつけたがらない方が多いので塩分喪失が意外と多く、きっちり(食塩摂取量を)守っている方は血圧が下がったりと大変です

毎日少しずつ意識するところから

高血圧などの生活習慣病と塩分摂取量との関連性は言うまでもなく明らかです。
ただでさえ日本人は塩分摂取量が多いので、目標値に近づけるための努力は必須と言えるでしょう。

しかし、なかなか完璧にやるのは難しいのも確かです。
重要性を誰よりも理解している医師ですら、守れていない方も多いくらいですので。

また、適切な食塩摂取量はその人のライフスタイルや年齢、体格などによっても異なります。

自身のライフスタイルを踏まえて、少しずつ食塩をとりすぎないよう注意するところから始めましょう。

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