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人類にとって最も重要な薬は何? 医師2500人が選んだのはドラマでも有名なあの薬!

薬
医師の8割以上が「人類にとって最も重要な薬は抗生剤」と回答しました。その他にも抗がん剤や鎮痛剤など、寿命やQOLにダイレクトに影響する薬を選んだ医師もいました。あなたにとって、一番欠かせない薬はなんですか?
医療の現場
イシコメ運営事務局 イシコメ運営事務局

花粉と熾烈な戦いを繰り広げているみなさま、お疲れ様です。
花粉症と無縁の方も、まだ帰らないでください。

花粉症に苦しんでおられる方であれば、とくにこの時期、薬のありがたさを感じることが多いのではないでしょうか?

花粉症でなくとも、毎月重い生理痛のために痛み止めにお世話になっているという方も多いことでしょう。
男性であれば、頭痛持ちの方ですと薬を飲む機会が多いかもしれませんね。
(社内にロキ○ニンを「神の薬」と呼ぶ偏頭痛持ちの社員がいます)

みなさまが普段、もっともお世話になっている薬はなんですか?

今回は、医師2500名に協力してもらった「人類に最も寄与した薬は何か?」のアンケート調査の結果をご紹介したいと思います!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2011年12月28日から翌年1月3日にかけて行われ、2490名から回答をいただきました。

医師の8割「抗生剤が一番!」

この調査は

1. 抗生剤
2. 抗がん剤
3. 血糖降下薬
4. 降圧薬
5. 抗凝固薬
6. 鎮痛、鎮静薬
7. その他

の中から、自身の考えにもっとも近いものを選んでいただく形式で行われました。
その結果をまとめたのが下記の図1です。

図1 人類に最もメリットのあった薬は?

もうね、圧倒的です。抗生剤がNo.1!

抗生剤とは、大腸菌やサルモネラ菌なんかの、細菌をやっつける効果のある薬です。
ペニシリンが有名ですね。

ドラマ化もした漫画、仁では人類初の抗生剤(抗生物質)であるペニシリンが登場し、江戸時代の多くの人々をコレラなどの感染症から救うシーンが描かれています。
(実は仁は「医師が好きな医療漫画ランキング」でも2位に入ってたりしますが、それはまた今度ご紹介しますね)

参考:医師限定アンケート “最も好きな医療マンガ”は何ですか?(PDF)

抗生剤と回答した医師のコメント

50代男性 一般内科医

抗がん剤、血糖降下薬、降圧薬、抗凝固薬は、もっと寿命を延ばしたいという、いわば「さらなる長生きのための薬」と捉えられます。
これらは“寿命延長”という欲望を叶えてくれる、人類のみに許された贅沢な薬です。
動物医療においては、あまり積極的に使用されないのではないでしょうか?

鎮痛薬、鎮静薬は、生命予後を云々というよりも「QOLを改善する薬」です。
これも“少しでも楽でありたい”という欲望を叶えてきたという点で、(人類への)貢献度は大きいが、やはり贅沢な薬といえるでしょう。

それに対し抗生剤は「最低限の寿命を確保してくれる薬」です。
薬としての基本的重要度は群を抜いています。

乳幼児期や小児期・若者における死亡率を激減させ、人類の寿命を飛躍的に延長させた功績は、誰しもが認めるところでしょう。

50代男性 腎臓内科・透析

細菌感染症は有史以来、人類にとって最も克服すべきものだったのは間違いありません。

もし抗生剤が全く発見されずに現代に至ったら、人類は存在し続けることができたでしょうか?

ひょっとしたらどのような細菌感染にも抵抗力をもつスーパーヒューマンが誕生していたかもしれません。
ただしその場合、そのスーパーヒューマン以外の人類は絶滅していてもおかしくないでしょうね。

30代男性 精神科医

日本でも戦前までは高齢者だけでなく、かなりの数の若年者、小児が感染症で命を落とし、平均寿命も短かったです。
戦後になり抗生剤が普及してくるとこのような事は減り、劇的に平均寿命が改善しました(栄養状態、衛生状態の改善もありますが)。

他国でも同様の傾向と思われますし、やはり抗生剤の開発が人類にとり一番大きなメリットだったと思います。

50代男性 小児科医

現在でも、感染症による死亡は人類の死因の第2位です。
つまり、まだまだ感染症のコントロールはできていません。

それでも抗生剤のおかげで死者は劇的に減っています。
基礎医学と臨床医学、薬学、生化学など、すべての科学の成果です。

残るは、政治と経済による力で、抗生剤を必要とする人類に、あまねく行き届くようにと願います。

40代男性 循環器内科医

抗生剤が必要な時、それが無いと人はすぐに死んでしまいます。
しかし、その他の薬は必要な時に無くとも、直ぐには死にません。

また、抗生剤は必要となる機会が多い薬です。
栄養状態等も関係するかと思いますが、昔は些細な切り傷や擦り傷でも、化膿して死ぬことがあったと聞きます。

仮に、いずれかの薬が存在しない世界があったとすると、抗生剤の無い世界が一番怖いです。

その他の回答をした医師のコメント

60代男性 一般外科医(抗がん剤)

最近の化学療法の進歩には目を見張るものがあります。
以前であれば半年以内にお亡くなりになったであろう方が、平均して2年以上永らえる事のできるようになった疾患もあります。

「自分の人生をどうするか、どう終えるか」について考える時間をつくれるようになったという点は非常に価値があると思います。

50代男性 一般外科医(抗がん剤)

(抗がん剤の進歩によって)最期の正月を家族そろってもう一度、という希望がかなう人が少し増えたと思います。

40代男性 一般内科医(血糖降下薬)

糖尿病をあつかう医師としては、あえてインスリンと答えたいです。
インスリン発見以前の1型糖尿病患者の凄惨な姿や、インスリン発見・抽出に至る苦労は語るに余りあります。
また、その後の遺伝子工学との融合により、現代の創薬の大きな足掛かりになった薬であると思います。

40代男性 循環器内科医(降圧薬)

高血圧の治療により、脳梗塞/脳出血/腎不全/心臓疾患等の予防に多いに貢献していることは明らかです。

60代男性 呼吸器外科医(抗凝固薬)

抗凝固剤の発見により、心臓手術や人工腎臓などの治療方法が可能になりました。
最近では抗血小板剤などの併用により、血管内治療の安全性、有効性もあがってきています。
心房細動による脳梗塞の予防にも投与されています。

他の薬も多くのメリットを持っていますが、抗凝固剤が最も重要な薬と考えています。

※ 編集者注:
抗凝固薬は、血液が固まるのを防ぐための薬です。
これによって、人工心肺装置や人工透析装置等の使用が可能になりました。
また脳梗塞等、血栓ができることにより発生する疾患の予防にも用いられます。

30代男性 代謝・内分泌科医(鎮痛・鎮静薬)

痛みは日常生活から終末期医療に至るまで、幅広い層が経験する苦痛です。
病院に来る人々の多くは痛みを主な症状として受診され、病を診断されます。

病気を治す薬も大切ですが、病気が治るまでの苦痛を取り除いたり、治癒しない病気であっても余命の痛みから解放される鎮痛薬は、人生の質を大きく改善させていると思います。

50代男性 麻酔科医(鎮痛・鎮静薬)

人類への最大の贈り物は、麻酔といわれています。
抗生剤もメリットがあると思いますが、それによる耐性菌などの問題も生じています。

麻酔がなければ、手術は何もできません。
終末期のモルヒネもなければ、悲惨なことでしょう。
鎮痛、鎮静剤が一番と思います。

50代男性 一般内科医(その他)

H2拮抗剤の出現には驚きました。
それまで胃潰瘍があるといっただけで外科は開腹をしていたのです。
この薬ができたことで、この薬が出現した時、潰瘍があるというだけで開腹するなどという乱暴な行為を、外科に思いとどまらせることができると思いました。

※ 編集者注:
H2拮抗剤とは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍等、消化器に穴ができるなどの疾患を治療するために用いられる薬です。

50代男性 循環器内科医(その他)

スタチンに一票です!
脂質低下療法が良質で簡便にできるようになり、脂質低下以外の効果も期待されるので、今後の人類への効能まで考えてチョイスしました。

※ 編集者注:
スタチンとは、血中のコレステロール値を下げる効果のある薬のことです。
コレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化等の原因となります。

50代男性 精神科医(その他)

睡眠薬です。
効果の確実性、副作用が少なく軽微であること、幸を受けた人の多さ、などの点で他を圧倒していると思います。

あなたが一番お世話になっている薬は?

8割以上の医師が、「人類にとって最もメリットのあった薬は抗生剤」と考えていることが分かりました。

感染症になったときには真っ先にお世話になる薬ですので、命を救うという意味では非常に頼りがいのある存在です。

あなたが一番お世話になっている薬はなんですか?
人によってさまざまだと思います。
普段よく使っている薬の成り立ちや体内での働きなどを調べてみると、楽しく医療について学べますので、おすすめですよ。

医師のコメント

  • 伊藤 涼
    極めて面白い質問と回答が多く、楽しめました。 昨今、抗菌薬は耐性菌問題が厚労省レベルでかなりとりあげられるようになり、とても良かったと思っています。 個人的には、アムロ・レイ世代のママさんよりも、アムラー世代のママさんに伝えたいんだけどな…(それでも古い?) http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179184.html 「かぜひいたから抗生剤」 あくまで抗菌薬は細菌を倒すのもので、ウイルスには効きません。無駄なクスリはリスクです!気をつけましょう。
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