医師の花粉症対策は? 花粉症にならない方法って? 医師400名にアンケート調査

花粉症に苦しむ女性
花粉症対策は薬を飲むこと、マスクをすることなど、一般的な対策で十分なようです。治療は面倒ですが、舌下免疫療法はスギ花粉症に対し一定の効果を期待できます。なお、今は花粉症でなくとも、将来花粉症になるのを完全に防ぐことは現在の医療では難しいそうです。
花粉症
イシコメ運営事務局

2月3月は花粉が飛び交うことから、花粉症の人にとっては辛い時期かと思います。
あまりにも症状がひどくて、病院に行って薬を処方してもらっている人もいるかもしれません。
そんな花粉症を、根本的に治す方法はないのでしょうか。
また、花粉症の医師たちはどのような対策をとっているのでしょうか。

そこで今回は、花粉症患者をよく治療しているアレルギー科・耳鼻咽喉科・眼科の医師392名に花粉症についてさまざまなことをアンケート調査しました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年2月17日から同年2月24日にかけて行われ、392名から回答をいただきました。

医師の7割が花粉症

日々花粉症患者をみている医師たちのうち、自分自身が花粉症だという医師がどのくらいいるのか質問してみました。
その結果が下記の図1です。

図1 花粉症の医師の割合

 

その結果、7割弱の医師が自分自身も花粉症であると回答しました。

では、この7割の花粉症の医師たちに、どのような花粉症対策をとっているのか質問してみましょう。

医師の花粉症対策は薬とマスク

次に「自分自身が花粉症である」と回答した医師263名に対し、具体的にどんな花粉症対策を行っているか聞いてみました(複数回答)。
その結果が下記の図2です。

図2 医師の花粉症対策

一番多かったのは「薬を飲む」で、70%の医師が選択しました。

次に「市販のマスクを付ける(46%)」「手洗い、うがい(29%)」「こまめに目薬をさす(27%)」などが続きました。
 

  • 40代男性 アレルギー科医
    純粋にスギ花粉だけのアレルギーという方はごく少数です。従って花粉症に対する対策というより、内服剤を用いて全般的にアレルギー反応を抑えるほうが、効果は高いと実感しています。本来は花粉への接触をシャットアウトするのが本来は好ましいのですが、困難なので、薬物療法が最も手っ取り早く、効果が期待できます。

「その他」と回答した医師の中には「医療用マスクを使います(50代男性 アレルギー科医)」という方も1名いました。
他にも「可能な限り外出しない」「魚の腸を食べる」「糖質制限」「砂糖や小麦を摂取しない」といったコメントが見受けられました。

 

舌下免疫療法に適応する医師は3割

最近話題の舌下免疫療法って知ってますか。

保険が使えるスギ花粉症に対する治療法で、シダトレンという薬を舌の裏側に垂らして、徐々に体をスギ花粉に慣らしていきます。

この舌下免疫療法を自分自身に使える、と回答した医師は花粉症をもっている医師のうち約3割でした。
また、舌下免疫療法を自身に使えるとした医師に「舌下免疫療法を実際に受けたか?」と質問した所、受けたことのある医師はさらにその3割にとどまることが分かりました。

図3 舌下免疫療法

受けない理由は「そこまでするほどじゃない」「めんどう」

舌下免疫療法が適応できるということはスギ花粉症であるということです。
それなのに、治療をしないのはなぜなのでしょうか。

該当する医師のコメントをいくつかご紹介します。

  • 40代男性 耳鼻咽喉科医
    スギ花粉症ですが、薬剤で十分にコントロールできているため、舌下免疫療法を受ける必要性を感じていません。
  • 50代男性 眼科医
    そこまで症状がひどいわけではないですし、毎日やるのがめんどうそうで、手を出していません。
  • 50代男性 アレルギー科医
    毎日やらなければならない、というのがめんどうです。舌下に垂らしてから数分待つ必要があるのが、忙しいのもあって時間がもったいなく感じます。飲み薬が出来たらやってみたいと思います。

舌下免疫療法では、舌の裏側に薬を垂らしたら2〜5分間そのまま待ち、その後飲み込むという作業を毎日やる必要があります。
それを月1回病院にかかりながら、3年以上続けることが推奨されています。

受けた医師は効果を実感している

逆に、舌下免疫療法を自分自身で受けた医師はどのように考えているのでしょうか。

  • 40代女性 アレルギー科医
    もともと皮下注射で症状をおさえていましたが、5年ほど継続してやめていました。それからさらに5年ほどたったところでふたたび花粉症状が出始め、2年前にシダトレン(舌下免疫療法)を開始しました。昨シーズンは2週間程度は通常の花粉症薬の内服が必要でした。今シーズンは今のところ、症状はありません。期待しています。
  • 30代男性 アレルギー科医
    保険適応になってから(2014年から)続けています。いまいち効果を実感することは少ないが、たしかに内服薬の種類・数を減らすことが出来たので、ある程度は効果があるのだと思います。
  • 60代男性 アレルギー科医
    免疫療法を始めたことで症状は軽快し、とてもよい治療法だと感じられました。これからも継続していきたいと思っています。
  • 40代男性 アレルギー科医
    効果は抜群です、今後も継続したいと思います。患者さんにも積極的にすすめております。

自身で舌下免疫療法を受けた医師は、多くがその効果を実感しているようでした。
完全に服薬をやめることが出来た方は少ないようでしたが、薬の量が減ったとする方が多く、ある程度効果はあるとコメントしています。

効果をまだ実感していない医師であっても、まだ治療を開始してから日が浅い事をあげ、効果が出ることを期待している様子が見て取れました。

患者に舌下免疫療法を処方したことがある医師は2割

また、自身の花粉症の有無によらず「患者に舌下免疫療法を処方したことがあるか」と質問したところ、「ある」と回答した医師は2割強にとどまりました。

図4 患者への舌下免疫療法の処方

個人的には、周りに花粉症に苦しんでいる方は多いイメージなのですが、舌下免疫療法はまだまだポピュラーな治療法というわけではないようですね。

ただし、効果はある程度期待できるようです。

図5 処方した結果、どの程度有効であったか

実際に患者に舌下免疫療法を処方したことのある医師に「何割程度の患者に対して有効(効果がある)と思われるか」と質問した結果をまとめたのが、上記の図5です。

平均して「6割以上の患者に有効」という結果となりました。
また、1割の医師は「10割(全員)に対して有効」と回答したのには驚きです。

さらに、「舌下免疫療法でスギ花粉症が完治したと言える患者は何割程度いるか」と質問しました。
回答を平均すると「3割程度は完治」という結果になりました。

図6 舌下免疫療法でスギ花粉症が完治する患者は何割?

これらはあくまで、医師たちの体感での割合です。
従って、正確性は低いといえます。

ですが先述の通り自分自身で効果を実感している医師も多数いますので、完治とは言わないまでも、多くの場合はある程度症状を軽減することが期待できそうです。

「花粉症には○○がいい」はどこまで本当?

コンタクトよりは眼鏡がいい

メガネとコンタクトだと、どっちが花粉症にはいいのでしょうか。

図7 花粉症にはコンタクトとメガネのどっち?

医師に質問した所、全体では約5割の医師、眼科医のみに絞ると8割弱の医師が「メガネの方がいい」と回答しました。

  • 50代男性 アレルギー科医
    花粉がコンタクトに付着したり、涙の中の花粉がコンタクトに張り付き、なかなか浄化されなくなります。従って、メガネのほうが花粉症の場合は良いでしょう。
  • 60代男性 アレルギー科医
    コンタクトレンズでは角膜とレンズの間に花粉が侵入する可能性があるため、より強くアレルギー反応を起こしかねません。
  • 40代女性 アレルギー科医
    メガネのほうが、花粉を少しでも目に入るのを防いでくれます。わたしも普段はコンタクトですが、花粉症の症状がある時期はメガネをするようにしています。

お茶は花粉症には効かない

巷には「花粉症に効く」とうたったお茶がいくつか売っていますが、これは本当に効くのでしょうか?
医師に質問してみた結果が下記の図8です。

図8 花粉症とお茶

7割が「わからない」と回答する結果になりました。

「効果がある」との回答は3%しかなく、その10倍近くが「効果なし」としていることから、おそらくお茶は花粉症には効かないと言えそうです。

ただし「漢方であったり、通常のお茶にも含まれるカテキンやポリフェノールは気持ち程度だと思いますが、効果があるかもしれません(30代男性、アレルギー科医)」といったコメントをする医師もちらほらいらっしゃいました。

アロマオイルも効果なし

また、アロマオイルにも花粉症に効くとうたった製品がありますが、お茶と同様、あまり期待はできないようです。

図9 アロマオイルも効果ない

ヨーグルトはもしかしたら期待できるかも?

ヨーグルトが花粉症に効くという噂もありますが、お茶やアロマオイルよりは期待できそうです。
「効果がある」と「効果がない」の差が小さいので、もしかしたらヨーグルトに含まれる乳酸菌が健康にいいのは間違いなさそうなので、「効いたらラッキー」くらいで食べてみるといいかもしれませんね。

図10 花粉症とヨーグルト

これから花粉症にならないためには?

ここまで花粉症への対策をご紹介してきましたが、わたしのように、今は花粉症じゃない人が、今後花粉症を発症することはあるのでしょうか?

図11 花粉症を防ぐことはほぼ不可能

医師に質問してみた所、97%が「今後花粉症になることがある」と回答しました。

しかも、約半数の医師が「花粉症にならないための有効な対策は存在しない」と回答しました。

図12 花粉症を防ぐ方法はない

  • 50代女性 アレルギー科医(有効な対策は存在しない)
    何をやっても無駄ですね。
  • 40代男性 アレルギー科医(有効な対策は存在しない)
    現在の予防医学では、花粉を吸入することによる感作(アレルゲンに抗体が敏感に反応すること)は防げません。また、免疫療法も発症する前に対しては適応しません。
  • 30代男性 アレルギー科医(有効な対策は存在しない)
    空気中に存在するものであり、人間の生活空間からの完全な除去は困難と思われます。
  • 60代男性 アレルギー科医(市販のマスクを付ける)
    花粉の暴露量が一定量に達すると発症する恐れがあるため、花粉の吸入をできるだけ抑えるのが良いと考えます。
  • 40代男性 アレルギー科医(市販のマスクを付ける)
    アレルゲンとなり得る物質の吸入をできるだけ回避するべきです。

上記の通り、アレルゲンである花粉との接触を可能な限り減らす、というのがせめてもの対策なようです。
マスクの他にも手洗い・うがい、洗濯物を外に干すのを止める、外出を避ける、などが考えられます。
 

スギ花粉症は舌下免疫療法が有効、あとは薬を飲んでマスク付けておくしかない

スギ花粉症に対する治療である舌下免疫療法は、個人差はあれどおおむね有効なようです。
ただし治療法自体がなかなか労力を必要とするようですので、重症な人にこそおすすめできる治療なのかもしれません。

その他の花粉症に対しては、やはり薬を飲むことと、マスクを付けるのが最も重要な対策となりそうです。

また、現在の医学では、花粉症を完全に予防することはできません

非常に悲しいですが「マスクをつけるなどして、なるべく花粉とは接触しないように気をつける」くらいしか出来なさそうです。

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