転んでケガした場合のキズの正しい対処は? 医師4000名にアンケート調査

転んでも元気な女性
キズは基本的に水道水での洗浄で十分なようです。多くの水でしっかりと洗浄しましょう。消毒は逆効果になることもあるので、しないほうが無難なようです。キズの範囲が広い・深い、化膿してきた等の場合は自分で判断せず、医療機関を受診するようにしてください。
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先日通勤途中で転びました。痛かったです。
でも急いでたので(遅刻しそうだったので)すぐ立って走って会社に行きました。

オフィスにつくと先輩に「どうしたの!?」と言われ、ふと自分の脚をみると膝小僧から血がぶわぁああって。
なんか気づいたらどんどん痛くなってきました。
(あと大の大人が何してんだって悲しくなりました)

とりあえずウェットティッシュで軽く拭いて(「除菌」って書いてたので)、バンソーコーを貼って放置しました。

でもそのあと、なんかどんどん腫れて、治るのに3週間くらいかかったんですよね。
結局は病院にも行きませんでしたが、あの転んで怪我したときの対応ってあれで良かったんでしょうか?

わたしのように治癒を長引かせないためにも、みなさまには正しい対応を知ってほしいと思いまして。
今回は4000名の医師が回答した「キズの洗浄について」のアンケート調査の結果をご紹介します。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2016年1月14日から同年1月20日にかけて行われ、3936名から回答をいただきました。

最も多かったのは「生理食塩水で洗浄して消毒」

この調査はもともとMedPeerの会員医師から寄せられたものです。
『夜間の当直や救急外来での診療で、「挫創」や「切創」などの創傷処置が必要となった時、創の洗浄には何を使用していますか?』
という質問に対し、

1. 生理食塩水で洗浄+消毒
2. 水道水で洗浄+消毒
3. 生理食塩水での洗浄のみ
4. 水道水での洗浄のみ
5. その他

これらの選択肢の中から自身の考えにもっとも近いものを選んでもらう形式で行われました。
その結果をまとめたのが下記の図1です。

図1 キズの洗浄について

すると、「生理食塩水で洗浄し消毒する」との回答が最も多く、全体の3割をしめました。

生理食塩水とは人間の体液と同程度の塩分濃度(約0.9%)に調整された清潔な水のことを指します。

たしかに身体に良さそうでキズの洗浄にはもってこいな感じがします。
でもケガをしたからといってわざわざ個人でこれを準備するのは面倒です・・・。

生理食塩水がなければ水道水で十分

ところが、必ずしもキズの洗浄は生理食塩水で行う必要はなく、水道水で十分なようです。
医師のコメントを見ていきましょう。

  • 50代男性 一般内科医
    (普段は生理食塩水で洗浄しますが)ぶっちゃけ水道水での洗浄のみで十分とは思っています。病院外なら本当にそれだけです。しかし、患者さんがわざわざ病院に来ている手前、消毒や生理食塩水での洗浄はやってしまうこともあります。実際、(普段よく診るレベルの傷では)結果はあまり変わりません。
  • 50代男性 一般内科医
    水道水でも治療効果は変らないのですが、浅くて広い創だと浸透圧差による刺激が無視できません。また蛇口から出る水道水がキタナい場合は論外です。というわけで「効果は変わらないけど痛くないし清潔が保証できるから」という理由で生理食塩水を使います。
  • 60代男性 形成外科医
    自分の怪我なら水道水で洗浄します。診察となると水道水ではやりにくいので、生理食塩水を使います。

生理食塩水を使うと回答した医師のコメントをみても、水道水で十分とする意見が多く、生理食塩水でなければならない理由をあげたコメントはほとんど見られませんでした

水量・水圧を考え水道水が良いとする意見も

生理食塩水を用いるとした医師、水道水を用いるとした医師、双方に共通して「水量・水圧が必要な場合は水道水が良い」という意見がみられました。

  • 80代男性 総合診療医
    キズが大きい、あるいは汚染が著しいとかの場合は、まずは十分な量の水で洗わなければなりません。従って水道水になります。十分洗浄した後、最後に生理食塩水をかけます。
  • 30代男性 一般内科医
    キズがどこの部位かによりますが、表層の問題であれば水道水で大量に洗う方がより菌数を減らせると思います。
  • 50代男性 一般外科医
    水圧をかけて十分な水量で洗浄するのが肝要と思うので、水道水でシャワーを用い洗浄します。洗浄だけでなく縫合等が必要なら、水道水での洗浄後に生理食塩水を撒いて浸透圧を調整してから処置に入ります。

傷口に砂などの汚れがついている場合は、より多くの水を使ってしっかり洗浄が求められます。
そのため、水量・水圧ともに期待できる水道水での洗浄が優れているシーンがあるようです。

消毒は逆効果!

わたしが衝撃を受けたのが、「消毒は逆効果だからしない」とするコメントが多かった点です。

  • 40代男性 一般内科医
    昔は消毒するように指導されましたが、最近のエビデンス的には消毒は細胞の再生を阻害するので逆効果と言われていますよね。微温湯(水道水)の洗浄のみでいいとは思いますが、傷の深さによっては「水道水よりも生理食塩水の方が痛みは少ないかな」という理由で生食を使うこともあります。
  • 20代男性 精神科医
    消毒はかえって良くないので「むしろしてほしくない」と思います。しかし実際に対応する立場になると、消毒を当然と思ってる人がまだ多いです。変に消毒を拒む元気もないですし、患者の要望に任せています。
  • 20代女性 一般外科医
    消毒液は必要ないというか、むしろ傷の治りを妨げるため使用しません。
  • 60代男性 一般内科医
    消毒は有害なこともあるので、状況によって判断します。しかし患者さんは「消毒」しないと納得されない方も少なくありません。
  • 40代男性 皮膚科医
    診療であれば、イソジンで消毒してから生理食塩水で洗浄することにしています。消毒薬にどれほどの意味があるのかは不明ですが、あとあと感染を生じた場合に「消毒をしなかったことが原因ではないか?」と言われないようにする意味があります。
  • 30代男性 一般内科医
    もちろん創の状態にもよりますが、必要以上の消毒はかえって皮膚を傷つけるということで洗浄のみを行います。水道水でもいいとはもちろん思いますが、患者さんの理解をあまりえられないので、生理食塩水を使います。

正直、消毒しないほうがよいというのは知りませんでした。

「正常な細胞にも害がある」「傷の治りが遅くなる」などといったコメントが本当に多く、あえて消毒液の類を用いる意味は無いようです。

消毒すると回答した医師も「患者や保護者の理解が得られないから」とする医師が多く、治療への効果を期待して行っているとするコメントはほぼ見られませんでした。

水道水で十分に洗浄、消毒はしなくてOK

アンケート調査の結果をまとめると

  • 十分な量の水道水でしっかり洗浄
  • あえて消毒液を用いる必要はない

という事になりそうです。

除菌してくれるウェットティッシュで軽く拭いただけのわたしは、おそらく最低だったということなんでしょうね。お恥ずかしい。

ただしこれらはあくまで基本的な対応ですので、明らかにキズの範囲が広い、深いなどの場合は自分で判断せず、医療機関を受診するようにしてください。
たとえ小さいキズであっても、赤く腫れてくるなど異常を感じたら、医師に相談するようにしてくださいね。

医師のコメント

  • 伊藤 涼
    いまどき消毒している医師はヤブでしょう(笑) 基本的に水道水(環境によっては生理食塩水)でしっかりと洗浄します。 あとは傷の程度に応じて、軽い擦過傷なら清潔にしといてね~で済ませ、浸出液(±血液)がじゃんじゃん出てきそうならドレッシング材を当てがって防水処置をしています。単に絆創膏を貼ると、かさぶたをはがしてしまう恐れありです。 最近は市販でもキズパワーパッドやモイストパッドなどがあります。自身の浸出液を使って治す、湿潤環境が大事です。 小学生の頃は擦りむいたらマキロンを塗りたくって、そしてキズドライでガサガサにしていました(笑)
    投稿日時:
  • 田中 公孝
    大いに賛同します。今でも「消毒しないのか?」と患者さんから聞かれる場面に遭遇しますが、消毒すると粘膜を余計に痛めて治癒が遅くなります。ご自宅での基本処置は、水道水でよく洗い流し、市販のキズパワーパッドがお勧めです。もちろん治りが悪い、化膿するなどあれば、変に粘らず受診しましょう。
    投稿日時:
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