ドーピングの相談を受けたことがありますか?医師3600名にアンケート調査

スポーツドクターと選手
医師の1割がドーピングの相談を受けたことがあると回答しています。主にスポーツドクターの資格を持っていたり、近隣にスポーツ施設があると対応しているようです。
医療の現場
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昨年、ロシアが国ぐるみでドーピングしていたという報道が世間を賑わせたのをみなさん覚えていますか?

この記事を執筆している間にも、リオデジャネイロ五輪女子マラソンで金メダルを獲得した選手が抜き打ちのドーピング検査で陽性が出たという記事を見ました。

わたしたち一般人からすると、”ドーピング”と聞いただけでは「良い記録を出すために何かしらの薬をあえて使う行為」という印象を持ってしまいます。

しかし、実際には何の悪気もなく普通の薬やサプリを飲んだだけでも、ドーピング判定が出るケースがあるんです。
ドーピングは特定の薬やサプリというより、薬の中に含まれている成分が規制の対象となっています。
ですので、禁止されている成分が含まれていることに気付かずに飲んでしまう、ということが起こるんです。

スポーツをしている選手達だって、花粉症の人は花粉症の薬を飲みますし、風邪を引いたら風邪薬を飲みますよね。

たくさんある薬の中でドーピングにあたらないように薬を選ぶのはとても神経を使いそうです…。

選手が自分だけで管理するのには限界があるので、医師や薬剤師に相談している方が多いでしょう。
相談を受ける側である医師たちは、どのように対応しているのでしょうか?

今回は、医師側から見たドーピングへの対応についてご紹介します。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2015年10月28日から同年10月3日にかけて行われ、3645名から回答をいただきました。

 医師の1割がドーピングの相談を受けたことがある

ドーピングとは、以下のように定義されています。

競技に際し、医療的処置を必要としない競技者に対し、一時的に身体的及び精神的能力の増強を目的として行う健康上有害なすべての人為的処置

引用元:一般社団法人 大阪府病院薬剤師会

例えば、有名な禁止薬物としてコカインやステロイドがあります。

最近でもテニスのトッププレイヤーであるマリア・シャラポワ選手がドーピング違反で2年間出場停止になっていました。

参照:マリア・シャラポワ、ドーピング違反で2年間の資格停止処分 本人は何と言った?

今回のアンケート調査では、「ドーピング検査に関わる処方や要望を受けた経験はありますか?」という質問に対して、「ある」「ない」で答えて頂きました。

コメント欄には、患者さんからドーピングの相談を受けた場合の対応について書いてもらいました。
その結果が下記の図1です。

図1 ドーピングの相談を受けたことがありますか?

ドーピングの相談を受けたことがある医師は全体の1割でした。
ドーピングを気にするとなると、スポーツ選手のなかでも特にトップアスリートの相談が多いと思うので、普通のクリニックで受診することは少ないのだろうと思われます。

それでは、実際に「ある」と答えた医師400名の方々のコメントを見てみましょう。

 近隣にスポーツ施設があると対応している

ドーピングに関する質問を受けたことがあると答えた医師のなかでも、特に野球選手に対応したというコメントが多かったです。

  • 60代男性 消化器内科
    プロ野球のキャンプ地なので、ときどき診ることがあり、チームの担当者よりドーピングにかかる薬の名簿を渡されます。
  • 60代男性 神経内科
    昔、勤めていた病院の近くに宿泊していた甲子園球児を診療したことがあります。ドーピングは本人や引率者よりこちらの方が気にして調べたり問い合わせた記憶があります。
  • 60代 一般外科
    かなり前のことですが、プロ野球(2軍)選手が肩が痛いとのことで夜間に来院されました。ドーピング禁止薬などの知識がないため、湿布薬のみ処方した覚えがあります。

その他、ゴルフ場、体育学部、ナショナルトレーニングセンター、プロリーグなどが近くにあるため相談されるというコメントも見られました。

スポーツ選手が受診しやすい場所に医療機関があると、対応する機会が増えるのですね。

スポーツドクターの資格を持っていると対応している

アンケートの中にはスポーツドクターの資格を持っていて、相談を受ける機会があるというコメントもありました。

  • 40代男性 脳神経外科
    スポーツドクターの資格を持っていますので、質問や要望が多いです。
  • 40代男性 整形外科・スポーツ医学
    体育協会のスポーツドクターをしています。強化選手は重要なことなので、自身でも勉強しているようです。
  • 40代男性 整形外科・スポーツ医学
    スポーツドクターをしておりますので切実な問題です。

ちなみにスポーツドクター制度というものがあり、現在は日本体育協会、日本整形外科学会、日本医師会といった3つの団体で行なわれています。
各団体のホームページによる検索や電話による問い合わせで、お近くのスポーツドクターを探すことができるようです。

受診する医療機関の先生が、スポーツドクターかどうかも受診の目安になりそうですね。

ドーピング関係の薬剤リストや問い合わせ先がある

  • 40代男性 整形外科・スポーツ医学
    アンチドーピング使用可能薬リストがネットで落とせるので、それを見て処方しています。
  • 50代男性 整形外科・スポーツ医学
    スポーツ整形やっているのでこれは時々あり、毎年更新リストをJADAが送ってきます。
  • 50代男性 整形外科・スポーツ医学
    日本アンチドーピング機構のホームページ等で検索可能です。代替治療がない場合には治療許可を申請して認められれば投薬可能になることがあります。
  • 40代男性 一般内科
    ドーピング防止ホットラインや薬剤師会に確認します。

このように、ドーピングに関する薬剤リストやホットラインがあるようです。

確かに検索してみたら、日本アンチ・ドーピング機構、日本薬剤師会、日本体育協会など様々なサイトでドーピングに関する禁止薬物や使用可能な薬剤のリストが出てきました。なかには、気づかずに禁止薬物を服用してしまうケースもあるようで、それでも制裁の対象になるとのことです。

「大丈夫だと思っていたサプリメントや薬が禁止薬物だった…」ということにならないよう、スポーツ選手自らも勉強していくことが大事そうですね。

受診が必要な際は、対応できるか事前に確認を

今回のアンケート調査では、9割の医師が、ドーピングに関する質問を受けたことがない、と答えています。
そしてスポーツドクターの資格がある医師や、近隣にスポーツ施設のある医療機関だとスムーズに対応してもらえることがわかりました。

ドーピングの相談をされる時は、一度ホームページで調べたり、電話で問い合わせをしてから受診されるのがよさそうですね。

わたしもスポーツをしていますが、ドーピング検査はこれまで縁がなく、今回の結果は、普段知らない世界を垣間見ることができておもしろかったです。

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