うつ病治療で大切な日常生活の過ごし方を精神科・心療内科医200人に聞いてみた

うつ病治療には普段の生活をどう送るかが重要
本調査で、医師から1番支持されたうつ病患者さんの生活の過ごし方は、休息することでした。休息を基本としつつ、頑張りすぎない、重大な決断はしない、自分を責めない、焦らないことが大事なようです。
うつ病・躁鬱
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ストレスの多い現代社会では、こころの病気は誰でも身近に起こる可能性があります。

特にうつ病は医療機関にかかっている患者さんだけでも全国で100万人近くいるとされており、近年になって非常に注目度が高まっている精神疾患です。

参考:精神疾患のデータ|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省

以前わたしの友人もうつ病を患った事があるのですが、「なんでこの人が!?」ってくらい、いつも明るくて元気なタイプでしたので、とても意外でした。

うつ病は誰もがなりうる身近な病気です。
自分がならないように、なったときのために、また周囲の大切な人がうつ病になってしまったときのために、うつ病治療で重要になる普段の生活の過ごし方についてお伝えしたいと思います。

今回はうつ病患者を診療する精神科・心療内科の医師210人にアンケート調査を行い、うつ病患者さんへの生活指導について聞いてみました。

※ 本調査は2017年4月14日〜4月16日にかけて、医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて精神科・心療内科系の医師に向け行われました。

精神科医・心療内科医が最も勧める過ごし方は、「休むこと」

この調査は「うつ病診療における患者本人への生活指導」について、特に重視するものを以下の選択肢の中から1つ選んでもらう形で行いました。

A  休息をとること
B  頑張りすぎないこと
C 自分を責めないこと
D 焦って重大な決断をしないこと
E その他

結果は、下の図の通りです。

図1 うつ病患者の生活指導で重視すること

今回の調査で用意した選択肢は、どれもうつ病の治療で重要と言われている項目です。

現場で実際にうつ病患者の治療にあたっている精神科・心療内科医の先生方からすると、その中でも特に重要なのがまずは休むことなようです。

  • 40代男性 精神科
    まずは休まないと他の治療をしてもなかなか改善しません。
  • 30代男性 心療内科
    休息は、うつ病の回復につながる非常に大事なことです。
  • 60代男性 精神科
    まず心的エネルギーの回復が必要です。
  • 40代男性 精神科
    仕事を手加減するように言っても、本人に調節能力がありませんので、とにかく休むように言います。
  • 50代男性 心療内科
    治療のステージによって指導内容は異なります。しかし、特に初期の場合、ほとんどの症例で十分な休息が必要不可欠になっています。
  • 60代男性 精神科
    うつは心の風邪、風邪のときは休養が第一です。

中には「脳が疲れている病態であるから」というコメントもあり、疲れているから休むというのは納得できるところですね。
うつ病治療における50%は休息を取ることだと考えている」といった休息の重要性を強調するコメントもありました。

しかし、そうは言ってもうつ病の方は、休むように言っても休めないという問題がつきまとうようです・・・読んでいてわたし自身も他人事に思えませんでした(焦)。

頑張りすぎるとうつ病が悪化してしまう

次に票数が多かったのは、「頑張りすぎないこと」でした。

  • 50代男性 心療内科
    うつ病患者の多くが、努力の限度の基準が曖昧です。限界以上に頑張ることで消耗し、それによりうつを生じるという癖を有することが多いです。
  • 40代男性 精神科
    典型的なうつ病の方の場合、頑張りすぎたり、自分を責めたりすることが多いので、頑張らないように説明します。自責感が強い患者さんなどには別の対応をします。
  • 50代男性 精神科
    働き過ぎからうつになっている患者が多いです。

まずは休むこと。
その次に、休んでいないときにも頑張りすぎないようにすることが重要なようです。

うつ病の治療をしているうちは、重大な決断はしない

さらに、うつ病が進行し症状が悪化している時期は、重大な決断をしない方がよいというコメントも多く見られました。

  • 50代男性 心療内科
    退職や離婚を決めようとする人が散見されますが、踏みとどまったほうが良い場合もあります。
  • 70代男性 心療内科
    病気のために、先のことを急いで決めて後に困った方がおられました。その内容がご本人だけでなく、ご家族の人生も大きく左右してしまったので、重大な決断はしないほうが良いかと思います。
  • 40代男性 心療内科
    うつ病の場合は正常な判断ができなくなっているので、退職などはしないようにしたほうが良いかと思います。
  • 30代男性 精神科
    (うつ病患者は)退職したがる傾向にありますが、あとで後悔しやすいです。
  • 60代男性 精神科
    本人に指導する時期にもよりますが、焦って重大な決断(辞職など)をしてしまうと、取り返しがつかないことが多いです。治療では、回復後のことも考え、重大な決断は後回しにすることを特に重視しています。
  • 40代男性 精神科
    仕事をしているうつ病患者が、(十分な業務をこなせない罪悪感で)職場に申し訳ないと言い、さっさと退職しようとしているのを止めたことが何度もあります。休職して療養の時間をとり、回復してから辞めるかどうかを考えるように、指導しています。

「重大な決断をしない」という選択肢を選んだ医師のコメントには、退職離婚というキーワードが散見されました。

仕事が原因でうつ病になってしまっていると「そんなブラック企業、やめちゃいないよ!」と言ってしまいそうですが、あとになって後悔することも多いようです。
そういった重要な決断については、あまり口を出さないほうが懸命なのかもしれません。

うつ病の際は本人の判断能力が低下している状況ですし、周囲の人が注意して接するのも大切なようです。

疲弊する原因は、「断れない」「休もうとしない」「完璧を目指してしまう」「生真面目」

また調査の中で、精神が疲弊する原因やうつ病患者さんの特徴についてもコメントしてくれた医師がいましたので、一部を紹介します

  • 50代男性 心療内科
    断りきれず仕事を引き受けてしまい、疲弊してしまっている方をよくみます。
  • 40代男性 精神科
    なかなか休もうとされない方が多いです。
  • 40代男性 精神科
    完璧を目指そうとして失敗してしまう方が多いです。具体的な成功例や失敗例を提示して、患者本人と比較させるなど、よりわかりやすい説明を行うことを心がけてます。
  • 60代男性 精神科
    うつの患者は概して責任感が強く完全主義者が多く存在します。
  • 40代男性 精神科
    性格的にまじめで自分を追い込む人が多いです。

コメントにもあるように断れない、自己責任が強くて休めない、完璧を目指そうとする、生真面目な方は、悪循環になりそうです。
イシコメでも以前うつ病の性格に関する調査をしていますので、気になる方は下記リンクをご覧ください。

参考:精神科医200人にきいたうつ病の症状となりやすい性格・なりにくい性格について

「自分を責める性格」だと、うつ病が改善しづらい

最後に、「自分を責めないこと」を選んだ医師のコメントをご紹介します。

  • 40代男性 心療内科
    実際に自責的になって症状が遷延(治療がはかどらず、長引いてしまうこと)していた症例がありました。
  • 30代男性 精神科
    自責感や罪業妄想を伴う方は休養がしにくいです。
  • 20代男性 精神科
    周囲の環境要因よりも自責を増悪要因とする患者が多いので。

コメントにもあるように、自己批判はうつの悪化要因になってしまうようです。

確かにずっと自己批判を繰り返していると、休んでいても休んだ気にならないと思いますね。
・・・って私もそんな経験がありますけど(焦)。

仕事の復帰は焦らないことが大事

では、幸いにもうつ病が良くなってきたら、他にどんなことに気をつけたらよいでしょうか?
うつ病が回復した後、社会生活への復帰に関してもコメントをいただいたのでご紹介します。

  • 50代男性 精神科
    早く復職したいと焦っていることが多いですが、逆効果です。
  • 40代男性 心療内科
    復帰を焦るあまり病状が悪化することが多い。
  • 30代男性 精神科
    調子が良くなった時ほど元に戻ろうとはりきり過ぎてしまいます。筋トレを急に張り切ると翌日から筋肉痛で動けなくなりますよね。筋トレはまず少ない量から体を慣らすことが必要ですが、うつ病からの復帰も筋トレのそれと一緒です、と説明しています。
  • 40代男性 精神科
    焦って復職してうまくいかず、さらに自信喪失するケースが多くみられます。
  • 40代男性 精神科
    休息をとることに罪悪感を抱かなくなることも復帰の目安です。

いざ復帰しようとしても、最後まで焦らないことが肝心なようです。
しばしばうつ病を再発したという話も耳にしますので、慎重な対応がよさそうです。

うつ病治療には、「休息」+「4つのしない」が大事

本調査で、医師から1番支持されたうつ病患者さんの生活の過ごし方は、休息することでした。

休息を基本としつつ、

  • 頑張りすぎない
  • 重大な決断はしない
  • 自分を責めない
  • 焦らないこと

が大事なようです。

もし頑張りすぎて疲弊してしまうとうつ病がよくなりませんし、うつ病の状態で重大な決断をしてしまうと、あとで後悔する結果になってしまうようです。

自分を責めることもうつ病の悪化要因になり、結果的に復帰を遅らせてしまうようでした。

本記事が、うつ病の方の治療に少しでもお役に立てれば幸いです。
またうつ病ではないという方でも、日常のストレスで疲れてしまったときの過ごし方として参考にしてみてはいかがでしょうか。

医師のコメント

  • 田中 公孝
    ぴあ訪問クリニック三鷹 家庭医療
    私も軽症うつの患者さんを診療する機会がありますが、今回の記事は生活指導の参考になりました。まずは休息を勧めることですね。
    投稿日時:
    なるほど

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    一般
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