うつ病の診断書について精神科医・心療内科医210人に聞きました

うつ病の診断書
うつ病の診断書発行期間は、1〜3ヶ月単位で、初診でも発行することがわかりました。ただし、今回はあくまでアンケート調査の結果であり、発行の有無や発行期間もそれぞれの患者さんの状態や主治医によってケースバイケースになりそうです。
うつ病・躁鬱
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厚生労働省によると、いまの仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる労働者は 55.7%に及ぶとされています。

参考:平成27年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況

こうしたストレスの原因は、長時間労働、職場の人間関係などいくつかありますが、ひどくなると、うつ病を発症してしまう方がいます。

うつ病は、メンタルヘルスの領域でも特に頻度が高い病気です。

うつ病とは?

まず、うつ病についてご存知でしょうか?

日本うつ病学会が出している治療ガイドラインによれば、

うつ病は、9つの診断基準項目のうち、5項目以上があてはまり、対人関係や職業その他の重要な領域での障害をきたしていることによって診断される

引用:日本うつ病学会治療ガイドライン

とあります。

うつ病は「9つの基準」をもとに診断され、とある地域医師会のホームページでは、以下のように紹介されていました。

以下の症状のうち、少なくとも1つある。
1.抑うつ気分
2.興味または喜びの喪失

さらに、以下の症状を併せて、合計で5つ以上が認められる。
3.食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
4.不眠あるいは睡眠過多
5.精神運動性の焦燥または制止(沈滞)
6.易疲労感または気力の減退
7.無価値感または過剰(不適切)な罪責感
8.思考力や集中力の減退または決断困難
9.死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

※上記症状がほとんど1日中、ほとんど毎日あり2週間にわたっている症状のために著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。これらの症状は一般身体疾患や物質依存(薬物またはアルコールなど)では説明できない。

引用:うつ病の診断基準 - 神戸市医師会

つまり、鬱々としたり、周囲への興味が薄れていて、さらに食欲不振、不眠、だるさ、思考の停止、自殺が思い浮かぶなど、様々な症状が重なった状態が続くと、うつ病の可能性があるようです。

うつ病の診断書は何科でもらう?

仮にうつ病で職場を休職せざるを得ない場合、多くの企業では手続きに医師の診断書が必要になると思います。

うつ病の診断書は、精神科・心療内科で発行してもらうことが一般的です。

保険診療になりますが、診断書の価格は医療機関によって異なり、概ね2000円〜5000円代になります。

病院の受付で聞けるため、気になる方は発行してもらう前に値段を確認しましょう。

さて、今回の調査では、うつ病の診断書について

  1. 診断書の 発行期間
  2. 初診でも診断書がもらえるのか?

の2点を、日々現場で診断書を発行している精神科医・心療内科医210人に聞いてみました。

早速、見ていきましょう。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年5月9日〜5月10日にかけて行われ、医師211名から回答を頂きました。

うつ病の診断書の発行期間は?

休職に関する診断書を発行される場合、記載する期間について最も多いものを選択肢の中から1つ選んでもらいました。

 A.  1ヶ月
 B.  2〜3ヶ月
 C.  半年
 D.  1年以上
 E.  その他

結果は、以下の通りです。 

図1

うつ病の診断書の期間は、1〜3ヶ月が多数

最も多かったのは、2-3ヶ月の発行、次に1ヶ月の発行という結果でした。
それではコメントを見ていきましょう。

  • 60代男性 精神科 回答:2〜3ヶ月
    患者さんが1か月と希望すれば、1カ月としますが、普通は3か月以内が多いですね。それより長くなると休職になる職場が多いので。
  • 60代男性 精神科 回答:2〜3ヶ月
    1か月でも復職できたケースが少ないため、ゆっくりと静養するように指導し作成します。3か月くらいで休職の診断書を作成することが多いです。
  • 30代女性 心療内科 回答:2〜3ヶ月
    1ヶ月では余裕をもった休養にならないし、半年以上だと患者さん自身が不安になるので。
  • 70代男性 精神科 回答:2〜3ヶ月
    病状にもよりますが、休息をとるにしても3カ月間くらいの休みは必要です。

このように2〜3ヶ月を選んだ医師は、1ヶ月だと回復するのにやや短いという考えのようです。

あまりに焦った復帰は再発を招くと言いますし、注意することは大事そうですね。

次に、1ヶ月を選んだ医師のコメントを見てみましょう。

  • 60代男性 精神科 回答:1ヶ月
    外来診察では、1か月程度の期間で、その間に2-3回の診察をしながら、症状の変化、薬への反応、病気への向き合い方などを判断していくためです。(入院のケースは2〜3か月の場合もあります。)
  • 40代男性 精神科 回答:1ヶ月
    3か月程度かかることもありますが、いきなり職場に3か月とすると、本人に立場的に不利益を与えてもいけないので、まずは1か月で書いています。
  • 50代男性 心療内科 回答:1ヶ月
    明らかな重症例や精神病性うつ病は除きます。軽症・中等症例に長く書くと、患者に「自分は重症だから、その間は良くならないんだ」、という先入観を与えることになります。とりあえず1か月休んで、調子を見て延長するかどうか考えましょう、と話をします。
  • 60代男性 精神科 回答:2週間〜1ヶ月
    当初は2週間か1ヶ月のどちらかです。新患は2週間にすることが多いです。休養や薬剤の効果は2週間ごとに判断しています。
  • 50代男性 精神科 回答:1ヶ月
    1ヶ月の診断書を、その都度更新しています。結局、3~6枚になる(3~6ヶ月の休職になる)ことが多いです。
  • 60代男性 心療内科 回答:1ヶ月
    経過を診ながらの記載のほうが、会社のほうも納得しやすいだろうと1ヵ月毎に診断書を出しています。
  • 40代男性 精神科 回答:同月末までか翌月末まで
    適応障害に伴う抑うつの場合など、休職に入ってすぐに回復に向かうこともあり、そこから転職を考える場合、あまり最初から長期に設定すると、以後の対応が却って難しくなることがあるため。

1ヶ月を選択された医師は、こまめに経過を見ながら判断していく不用意に長く設定しない短期間で回復に向かうケースがある職場への配慮などの理由でした。

ただし、重い病状だと長めに出すケースもあるようです。

さて、うつ病で休職するかどうか切羽詰まった状況だと、すぐに診断書を出してもらえるか心配になるところだと思います。

次に、「初診でも診断書を発行してもらえるのか?」についてお聞きしました。

8割の医師が初診でも診断書を発行

図2

 

  • 40代男性 精神科
    診断に該当すれば発行しますが、休職の必要性があるかどうかはその場での判断であり、休職不要であればそのように説明して、どのような内容の診断書を作成するかを話し合うことにしています。
  • 30代男性 精神科
    患者さん自らが欲しいと言ってきたら発行します。こちらからは余程のことがない限り診断書を書いて休みましょうとは言いません。診断書を書いて休むことが必要な状況なら入院を勧めます。
  • 50代男性 精神科
    うつ病でなくとも極端な抑うつ症状があれば休業は必須です。詐病可能性は完全に否定できないですが、1ヶ月程度の休業期間の後、再評価すれば除外できる可能性が高いと考えています。
  • 50代男性 心療内科
    ある程度,自信を持ってうつ病と診断できれば、発行します。詐病が疑わしいときは発行しません。はっきり診断できないときは、診断に疑いをつけます。
  • 50代男性 心療内科
    初診で働けない状態の方もいます。診察をした上で、必要であれば診断書を発行します。初診で診察する前に、診断書発行を約束することはありません。
  • 30代男性 精神科
    ケースバイケースです。明らかに症状が酷く、こちらから勧める場合もあれば、書けないと断るケースもあります。

8割弱の医師が、初診で診断書を発行するという回答をしました。
初診であっても休養が必要なレベルのうつ病と診断書を発行するというコメントもある一方で、状況によっては断るケースもあるようです。

医師のコメントを見ていくと、患者さん自らが診断書の話を切り出していくことも、診断書を発行してもらうためには大事そうですね。

ただし「詐病」という言葉がでてきましたが、病気のふりをして休むことを目的として来院される方もいるようで、医師の方も診断書の発行には慎重なことがわかります。

診断書発行は基本1〜3ヶ月単位、初診で発行するケースもある

本調査は、うつ病の診断書について精神科医・心療内科医210人に聞きました。

結果、診断書の発行期間は基本1〜3ヶ月単位、初診で発行するケースもあることがわかりました。

ただし、今回はあくまでアンケート調査の結果であり、発行の有無や発行期間もそれぞれの患者さんの状態や主治医によってケースバイケースになりそうです。

診断書を発行してもらうのは慣れないことかもしれませんが、受診の際は本記事を参考にしてもらえれば幸いです。

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