妊娠時の出血とおりものの変化について産婦人科医200人に聞いてみました

お腹を押さえる女性
妊娠時の出血やおりものの原因や症状は様々あり、一概に問題あるなしは判断できません。もし出血があった場合は少量であっても軽視せず、必ず医師に相談しましょう。
妊娠・出産・不妊の悩み
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妊娠中の突然の出血やおりものの変化は、びっくりしますし気になりますよね。赤ちゃんに何かあったのでは、と不安に駆られてしまう方もいると思います。今回は、そんな妊娠時の出血やおりものの悩みを産婦人科医200人に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年6月27日〜7月3日にかけて行われ、産婦人科医190名から回答を頂きました。

こんな出血には要注意!

一口に出血とは言っても、その具体的な症状は様々あるかと思います。気を付けるべきはどのような症状なのか、医師への調査結果を早速見ていきましょう!(複数回答可)

気を付けるべき出血をまとめたグラフ

いかがでしょうか。グラフに挙げられたどの出血も、なんと60%以上の医師が受診を勧めるという結果になりました。
さらに、「どのような出血であるか」よりも「どの時期の出血であるか」を重要視する意見が多くみられました。
その中でも多かったのは、妊娠中期・後期の出血についてでした。

  • 60代男性 産婦人科医
    妊娠19週の未産婦で、ごく少量の出血があり、張り・痛みの自覚はなしという患者さんがいました。連絡することなく翌日受診、胎胞突出で高次医療機関へ搬送も数日後破水し流産となったことがあります。中期・後期の出血は原則として受診をしてください。
  • 40代女性 産婦人科医
    妊娠初期は、大量出血や強い腹痛がなければ急いで受診の必要はありません。中期以降は、少量出血であっても痛みがなくても早急に受診が必要です。
  • 30代女性 産婦人科医
    妊娠33週、サラッとした出血、腹痛で診察した患者さんが常位胎盤早期剥離だったことがあります。

このように、妊娠後期での出血は流産常位胎盤早期剥離の危険性があると指摘する声が多かったです。
ちなみに、常位胎盤早期剥離とは以下のような症状のことを言います。

常位胎盤早期剥離とは、まれに赤ちゃんがお腹の中にいる間に、胎盤が子宮から剥がれることをいいます。赤ちゃんは胎盤を介してお母さんから酸素や栄養を受けているため、胎盤が先に剥がれると酸素が不足し、脳性麻痺などの障害が残ることや死亡することがあります。

引用:公益財団法人 日本医療機能評価機構

また、出血の症状だけでは危険性を判断するのは難しいとする意見もありました。

  • 60代男性 産婦人科医
    妊娠中の出血は重大な事態が隠れている場合があるので、取り敢えずは受診した方がよいと思います。
  • 40代男性 産婦人科医
    腹痛を伴う出血で心配な病態もありますし、腹痛を伴わない出血で心配な病態もあります。結局のところ、受診をしていただかないと大丈夫かどうか判断できないということです。
  • 40代女性 産婦人科医
    はっきり言って、重篤なことの方が少ないですが、出血は時に痛み等があまりなくても胎盤早期剥離のこともあり、来ていただくに越したことはないかと思います。
  • 50代男性 産婦人科医
    いずれにしても診察してみないとわからないし、患者さんの不安を早く解消した方がいいと思うので早めの受診を指示しています。

些細な出血かと思っていたら実は重篤な症状だったということもあるようです。
自己判断はせず、しっかり診察をしてもらい医師の指示に従うのが大事とのことでした。
また、直接診察してもらう以外にも、こんな方法を勧める医師もいました。

  • 50代男性 産婦人科医
    妊婦が自分で判断するのは危険だと思います。受診しないにしても電話相談を受ける体制をとっています。
  • 50代女性 産婦人科医
    切迫兆候を見逃さないよう基本的にはまずは電話などで良いので相談してもらいます。

直接受診せずとも、電話でもいいので相談してほしいとのことでした。
もし妊娠時に出血があった場合には、なんらかの形で医師に相談するのがベストですね。自己判断は禁物です。

妊娠初期の出血、安静にすべき?

さて、ここまで受診すべき出血について見てきましたが、妊娠初期に出血のあった場合、しばらくは安静にしていたほうが良いのでしょうか。

出血があるときは安静にした方が良いのか

約半数の医師が安静にすべきとする結果となりました。
そこで、その理由を聞いてみました。

  • 40代女性 産婦人科医
    安静といっても寝ているほどではないです。たとえ流産になったとしても多くは染色体異常に起因するので。安静は、本人が後悔しないためにというところでしょうか。
  • 50代女性 産婦人科医
    有効な薬もないし、安静にしていれば流産しないというわけでもないのですが、結果が悪かった時に「安静にしていれば助かったかも」と思わせたくないので。
  • 50代女性 産婦人科医
    安静にしても予後は変わらないと思いますが、流産した時周りからとやかく言われないためにはある程度安静にしといた方が良いです。

安静にすべきと回答した医師も、ほとんどがこのような意見でした。
つまり、妊娠初期の出血に対し安静は必ずしも有効ではないが、もし赤ちゃんに何かあったときに妊婦が後悔しないために安静にしておいた方が良い、ということですね。
妊娠初期の流産は、染色体異常などによるものが多く、それ自体は防ぎようがないとされています。
ですが自分自身が後悔しないためにも、ある程度の安静は必要かもしれません。

妊娠中のおりもの、色が変?

出血に引き続き、次はおりものについてです。正常なおりものは透明や乳白色ですが、妊娠後おりものが茶色くなることがあります。突然おりものの色が変わると少し不安になる方もいると思います。そこで、こちらも医師に聞いてみました。

茶色いおりものがあった場合様子を見ていいのか

場合による」という回答が6割を占める結果となりました。では、どのような場合は診察が必要で、どのような場合は様子を見ても良いのでしょうか。

  • 30代女性 産婦人科医
    妊娠初期には茶色のおりものはよく見られるもので、たいていは問題ありません。古い出血のことが多いです。赤ちゃんが大きくなってくると動く刺激で子宮との間で軽く出血して、それが茶色のおりものになって出てくることがあります。
  • 40代女性 産婦人科医
    初期であれば様子見でよいと思いますし、それ以降であればひとまず相談されるのがよいと思います。また、それまでの経過に切迫所見があったかどうかにもよります。まずは外来に電話が良いと思います。多いのは絨毛膜下血腫です。また不妊治療で膣剤を使用している場合の外的な要因もありえます。
  • 50代男性 産婦人科医
    少量の茶色帯下であれば用様子を見てよい場合が多いと思いますが、妊娠週数など状況によりますので、電話相談などの対応は必要だと思います。
  • 30代男性 産婦人科医
    前置胎盤などは妊娠後期まで見逃されている場合があります。自分の施設の症例でなければ診察したうえでないと判断が難しいと考えています。

茶色いおりものについては、妊娠初期であればあまり気にする必要はないとする意見が多く、逆に妊娠後期の場合は前置胎盤などの危険性を指摘する意見もありました。前置胎盤とはこのような症状です。

胎盤が正常より低い位置に付着し、胎盤が子宮の出口(内子宮口)にかかっていたり覆っていたりする状態を「前置胎盤」といい、その頻度は、全分娩の0.3~0.6%といわれています。前置胎盤は、胎盤が赤ちゃんよりも子宮の出口付近に位置しているため、ほぼ100%帝王切開で分娩となり、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても危険性の高いハイリスク妊娠なのです。

引用:日本産婦人科学会

また、どの時期であっても電話相談などはした方がいいという医師も多くいました。
妊娠初期のおりものであっても必ずしも問題がないとは限らないので、もし気になることがあれば医師に相談するようにしてください。

出血が見られた場合は医師に相談を

ここまで見てこられたらお分かりになるかもしれませんが、妊娠中の出血の原因は様々で、素人である私たちが独自に判断するのは非常に難しいといえます。「少量の出血だから・・・」とか、「痛みはないから・・・」と放っておいたら大事に至ったということもあるそうです。出血があった場合や、おりものに変化があった場合は油断せず、電話でも直接でも必ず医師に相談するようにしてください

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