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妊娠中に頭痛薬は飲んでいいの?産婦人科170人にアンケート調査

妊娠中の頭痛
産婦人科医の6割以上が「条件付きで鎮痛剤を飲んでもよい」と回答し、「鎮痛剤を飲んでも良い」を選んだ医師も含めると8割を超えました。ただし時期を選んだり、有害事象を把握した上で飲む必要もあり、自己判断せず産婦人科で相談することが望ましいようです。妊娠中の頭痛予防には、休息をとる、ストレス・寝不足を避けるが上位の回答でしたが、心身に負担をかけないことが大事そうです。
妊娠・妊娠前
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妊娠中に頭痛がしたら薬を飲んでもよいのでしょうか?

近所の内科に行ってみると「婦人科で相談して欲しい」と言われたり、病院を受診するにしても産休前だと仕事でなかなか行けないこともありますよね。

自然におさまるのであればそれが一番ですが、日常生活が送れないほどの頭痛になる前に痛み止めを飲みたいと考えるのが普通だと思います。

そしてもし頭痛の薬以外の予防や対策方法があるなら、ぜひ知りたいところですよね。

こうした妊娠中に悩む頭痛について、今回イシコメ編集部では普段妊婦さんたちを診療している産婦人科の先生達にアンケートを行いました。

解説ではガイドラインや製品の情報なども盛り込みましたので、ぜひご覧ください!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年7月4日〜7月10日にかけて行われ、産婦人科医179名から回答を頂きました。

まずは、率直に妊娠中の頭痛で痛み止めを飲んでいいのか聞きました。

図1

条件付きで鎮痛剤を飲んでもよい、が最多の回答

  • 60代男性 産婦人科「薬を選ぶなど条件付きで飲んでもよい」
    妊娠初期はプロゲステロンが上昇しているため、頭痛が起こりやすいです。もともと若い女性には頭痛持ちが多いので、治療を要する妊婦さんは多いです。ロキソニン、ボルタレン(NSAIDs)などの酸性鎮痛剤ではなくアセトアミノフェンを勧めています。
  • 60代男性 産婦人科「薬を選ぶなど条件付きで飲んでもよい」
    週数によります。おおよその鎮痛剤の処方は可能ですが、22週以降はNSAIDsの投与は要注意です。インドメタシン座薬を投与し、胎児のボタロ管の閉鎖し胎内死亡が発生することは有名です。
  • 60代男性 産婦人科「薬を選ぶなど条件付きで飲んでもよい」
    歯科を含めて他科の医師から妊娠中の鎮痛剤についてよく尋ねられます。アセトアミノフェンは妊娠中もOKな薬剤なので推奨しています。
  • 40代女性 産婦人科「飲んでも良い」
    血流増加に伴う妊娠初期の頭痛は、後頭部を冷やすことで収まることがある事は伝えています。薬はアセトアミノフェンが使いやすいので使ってもらいます。
  • 50代男性 産婦人科「飲んでも良い」
    つわりの時期に、よく頭痛を訴える方がいます。アセトアミノフェンを頓服で処方しています。
  • 50代男性 産婦人科「飲んでも良い」
    いつもと違う頭痛時には、頭蓋内出血等のリスクがあり、必ず受診するように話しています。
  • 50代女性 産婦人科「飲んでも良い」
    飲まずに我慢して結局生活の質が悪化してメンタルで病んでしまう方もいらっしゃいますよね。
  • 60代男性 産婦人科「なるべく飲まない方がよい」
    痛みのストレスは、原因を取らないといけないので、歯痛ならば早めに歯医者さんで、治療したほうが良いです。
  • 40代女性 産婦人科「なるべく飲まない方がよい」
    妊娠中の鎮痛剤は胎児への影響が知られています。かといって、ゼッタイ飲むな、とも言えません。
  • 40代女性 産婦人科「なるべく飲まない方がよい」
    アセトアミノフェンを処方することはあるが時期を選び、後で判明する有害事象の可能性など十分説明しています。

医師の6割以上が「条件付きで鎮痛剤を飲んでもよい」と回答し、「鎮痛剤を飲んでも良い」を選んだ医師も含めると8割を超えました。

医師のコメントでは、妊婦さんにも安全性が高いアセトアミノフェンを中心とした鎮痛剤であれば痛み止めとして飲んでもよいという意見が多く、一方でNSAIDsについては避けた方がよいという意見が見られました。

アセトアミノフェン(商品例:カロナール)とNSAIDs(商品例:ロキソニン、ボルタレンなど)の違いは、以下の論文が参考になります。

アセトアミノフェンは海外の様々なガイドラインで鎮痛における薬物療法の第一選択薬とされている.この理由としてアセトアミノフェンの鎮痛効果が挙げられるが,もう一つはその安全性も挙げられている.特に,同じ非オピオイド鎮痛剤としての NSAIDs と比較した際にアセトアミノフェンの安全性の高さが指摘されている. NSAIDsについては,その鎮痛作用,解熱作用,抗炎症作用における有効性は十分認識されている ものの,COX を阻害してプロスタグランジンを 抑制するというNSAIDs の作用機序から,種々の副作用リスクが指摘されている.

引用:アセトアミノフェン鎮痛目的利用の国内外差 およびその普及による薬剤費低減の可能性

つまり、安全性が高く海外でまず一番に使われるのがアセトアミノフェン、炎症を抑える作用もあって解熱鎮痛作用が強い分、副作用のリスクがあるのがNSAIDsというわけです。

慢性頭痛に関するガイドラインでも、妊娠中の片頭痛は、経験的に安全性の高いアセトアミノフェンが広く用いられていると明記されていました。

参照:慢性頭痛の診療ガイドライン2013 - 日本頭痛学会

また、アセトアミノフェンは一般名なので、実際に病院でよく見かける名称は、カロナールになると思います。

カロナールの説明サイトによれば、頭痛や筋肉痛、月経痛など幅広い痛みに対応する効能・効果があり、痛みに使うときは1回300~1000mgの用量で、投与間隔4~6時間以上、1日総量4000mgと書かれていました。

参照:カロナール/CALONAL(アセトアミノフェン)の基本情報 - MedPeer

カロナールは医師の処方になるので受診しないと手に入らないものですが、市販薬だとタイレノールラックルが同じアセトアミノフェンのようです。

ただし、「鎮痛剤はなるべく飲まない方がよい」と回答した医師からは、時期を選んだり、有害事象を把握した上で服用を促すようなコメントがあり、やはり自己判断せず産婦人科で相談することが望ましいようでした。

 

次に、こうした妊娠中の頭痛に対して、どのような生活指導を産婦人科の医師は行なっているのでしょうか?

こちらも聞いてみました!

図2

妊娠中の頭痛予防には、休息をとる、ストレス・寝不足を避ける

  • 60代男性 産婦人科「休息をとる」
    頭痛に限らず、悪阻や便秘も我慢したり、様子見る妊婦さんが多いです。心配のない薬を使って楽になった方がいいとお話します。
  • 60代男性 産婦人科「休息をとる」
    異常に緊張して頭痛が出ていた患者さんを実家に帰すと治ったことがあります。休息が一番でしょう。
  • 30代男性 産婦人科「休息をとる」
    悪阻や不安など複雑な原因が多いです。まずは十分休息がとれるよう指導します。
  • 50代男性 産婦人科「ストレスを避ける」
    仕事のストレスなど避けるように言いますが、実際には難しいことが多いようです。
  • 60代男性 産婦人科「ストレスを避ける」
    やはりストレスが影響します。ゆったり過ごしましょう。
  • 50代男性 産婦人科「水分をよく摂る」
    妊娠初期はつわり→脱水→循環不全→頭痛となりやすいのでこまめに少量ずつ水分補給しましょう。
  • 50代男性 産婦人科「カフェインの摂取を避ける」
    カフェイン等の刺激物もストレスと考えます。
  • 50代男性 産婦人科「その他」
    ストレッチで首の凝りをとったら、嘘のように軽快したこともありました。

妊娠中の頭痛予防には、休息をとる、ストレス・寝不足を避けるが上位の回答でした。

さらに慢性頭痛のガイドラインでも片頭痛患者さんに対するリラクセーション、緩和訓練が症状の改善につながるといった内容が書かれており、本調査の結果を支持するものでした。

参照:慢性頭痛の診療ガイドライン2013 - 日本頭痛学会

心身に負担をかけないことが頭痛の予防になるようですが、「実際には難しいことが多い」という医師のコメントもあり、現実的な折り合いは課題となりそうです。

「頭痛の原因は人それぞれなのでその人にあった方法で対応してもらう」というコメントもありましたが、やはり一律に予防策があるわけではないようなので、いろいろ試してみてご自身にあった頭痛予防を習慣にするのが大事そうです。

50代男性医師の「ストレッチで首の凝りをとったら、嘘のように軽快した」というケースもありましたが、筋肉の緊張による頭痛の場合は、ストレッチを試してみるのもよいかもしれませんね。

水分については、つわりによる脱水で頭痛を引き起こす可能性があるためこまめな水分摂取を推奨する医師がおられたり、カフェインの摂取を控えることが頭痛の予防につながるとした医師もおられました。

1つ前の調査のなかで、血流増加に伴う妊娠初期の頭痛は、後頭部を冷やすことで収まることがあるといったコメントも見られましたので、参考にしてもらえればと思います。

妊娠中に頭痛薬を飲む際は、医師に相談しながら

本調査によると、産婦人科医の6割以上が「条件付きで鎮痛剤を飲んでもよい」と回答し、「鎮痛剤を飲んでも良い」を選んだ医師も含めると8割を超えました。

妊婦さんにも安全性が高いアセトアミノフェンなどの鎮痛剤であれば、痛み止めとして飲んでもよいする意見が大半でしたが、時期を選んだり、有害事象を把握した上で服用するよう促すコメントもあり、やはり自己判断せず産婦人科で相談することが望ましいようです。

妊娠中の頭痛予防には、休息をとる、ストレス・寝不足を避けるが上位の回答でしたが、心身に負担をかけないことが大事そうです。

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