妊娠中は、ホルモンの関係で便秘になりやすいと聞きます。
妊娠の時期が進み、お腹が大きくなっていくと、さらにひどくなるケースもあるとか。
実際、妊娠中の便秘はどのように対処したらよいのでしょうか?
また、ひどければ便秘薬は飲んでも良いのでしょうか?
産婦人科医の先生にアンケート調査を行いました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年7月4日〜7月10日にかけて行われ、産婦人科医179名から回答を頂きました。
まずは、普段の診療のなかで指導している便秘にならないための対策について聞きました。

便秘の予防は、食物繊維・水分をとるのが大事!
- 50代男性 産婦人科 「食物繊維をとる」
ストレッチなどの運動や、乳酸菌・水分全部大事ですが、現代女性では食物繊維が一番不足している印象です。 - 50代男性 産婦人科 「食物繊維をとる」
一番は排便習慣です。朝食事を摂ったあと1時間位はトイレにいくための時間と思って、もよおしたらすぐトイレにいくべきです。 - 50代女性 産婦人科 「水分をとる」
先ずは腸の中の便が水分を吸われて固くなってしまうことを回避するよう説明をすると、改善することが多いように思います - 40代女性 産婦人科 「水分をとる」
マグネシウム製剤をよく処方することもあり、水分摂取をすすめます。悪阻で食生活も不規則になるので、お薬でよいと思います。 - 60代女性 産婦人科 「運動・ストレッチなど」
女性ホルモンのために便秘はある程度仕方がありません。適度に体を動かすことも大事ですが、妊婦に適さない運動やストレッチもあるので要指導です。 - 60代男性 産婦人科 「乳酸菌をとる」
水分+ヨ-グルト+食物繊維でかなり改善出来ると思いますが、これでもダメなら、マグラックスやピコスルファートナトリウムも使います。 - 40代男性 産婦人科 「乳酸菌をとる」
やはりヨ-グルトと野菜ですが、ひどくなる前に緩下剤を進めています。
妊娠中の便秘の予防は、食物繊維・水分をとることが上位に挙げられました。
便に水分や食物繊維を含ませることで便秘を解消するメカニズムのようですが、他にもヨーグルトで乳酸菌をとる、適度に体を動かすなども挙げられていました。
生活習慣で改善しない場合は早めに下剤を使うといったコメントも見られましたが、次に妊娠中に便秘になった時は薬を飲んで良いのか聞きました!

便秘時の薬は、「条件付きで飲んでも良い」「飲んでも良い」が大多数
- 40代女性 産婦人科 「薬を選ぶなど条件付きで飲んでもよい」
妊娠中の便通のコントロールは重要なので、食事水分運動等で出ない場合はラキソベロン液や酸化マグネシウム錠で調整します。 - 40代女性 産婦人科 「薬を選ぶなど条件付きで飲んでもよい」
便秘薬を拒否して、腸閉塞から手術になった方を見たことがあるので、薬を飲んで解消した方がよいと考えます。 - 60代男性 産婦人科 「飲んでも良い」
妊娠時は悪阻のため食事の摂取量も減っていたり、運動量の減少などで便秘になり易いです。もし便秘のため腹痛などがあるようであれば酸化マグネシウムなどを投与しています。 - 60代男性 産婦人科 「飲んでも良い」
たまに、便秘で腹痛を起こす妊婦さんがいます。その時は、摘便することもあります。便秘でいきんで、腹緊がひどくなったことがありますし。 - 60代男性 産婦人科 「薬を選ぶなど条件付きで飲んでもよい」
状況にもよりますが、食事、生活習慣等で改善しなければ、薬物治療を行うべきだと思います。 - 50代女性 産婦人科 「薬を選ぶなど条件付きで飲んでもよい」
裂肛を起こすこともあり得るし、子宮収縮を促進しかねないので下剤は出します。
便秘時の薬は、「条件付きで飲んでも良い」「飲んでも良い」が大多数の意見でした。
薬は比較的早めに飲んだ方が痔やお腹の張りが強くなることを防ぐことができるといったコメントがある一方で、「センナ、アロエ成分を含む下剤は、原則禁忌です。」というコメントもあり、妊娠中でも大丈夫な下剤を選択する必要はありそうです。
最も多かったのは、「酸化マグネシウム」という薬でした。
こちらは、マグネシウムによって便を柔らかくする緩下剤のことで、妊婦さんが飲むスタンダードなお薬のようです。
妊娠中の便秘は比較的起こりやすいと聞きますし、妊婦健診等で一度産婦人科医に相談し、アドバイスを受けた上で適切に使用しましょう。
妊娠中の便秘はひどくならないよう早めの対処を
本調査によると、妊娠中の便秘の予防は、食物繊維・水分が上位に挙げられました。
また、便秘時の薬は、「条件付きで飲んでも良い」「飲んでも良い」が大多数の意見でしたが、妊婦健診等で一度産婦人科医に相談し、指導を受けた上で適切に使用しましょう。