妊娠糖尿病ってどんな病気?産婦人科140人に聞きました

糖尿病の妊婦
妊娠糖尿病は、妊婦健診の検査で見つかる病気で、発症には家族歴・生活習慣が関係しているという結果になりました。合併症は、巨大児が多いようです。出産後も影響するため、その後も健康診断を受けて糖尿病の数値を確認したり、食事・運動に気を配っていくことが大事そうです。
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皆さんは、妊娠糖尿病という病気をご存知ですか?

日本産婦人科学会では、以下のように定義されていました。

妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常です。なお、妊娠前から既に糖尿病と診断されている場合や、妊娠中に“明らかな糖尿病”と診断された場合は妊娠糖尿病には含めませんが、これらは妊娠糖尿病より重度の状態ですので、血糖をより厳密に管理する必要があります。また妊娠前に糖尿病と診断されている場合は、血糖を十分管理した上で計画的に妊娠することが、健康な赤ちゃんを産むために非常に大切です。
引用:妊娠糖尿病とは|日本産婦人科学会

妊娠で体質が変化するという話はよく耳にしますが、ひどいと糖尿病になってしまったり、高血圧になってしまったり病気を発症してしまうことがあるようなのです。
お母さんが糖尿病になると、赤ちゃんに影響があるという話も。
今回は、そんな妊娠糖尿病について産婦人科医にアンケート調査を行いました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年7月10日〜7月18日にかけて行われ、産婦人科医146名から回答を頂きました。

まずは、どんな時に妊娠糖尿病が見つかるのかお聞きしました。

図1

妊娠糖尿病は、妊婦健診の検査で見つかるのがほとんど

  • 60代男性 産婦人科
    妊娠糖尿病で症状が出るまで来院しなかった方はいません。妊婦健診で偶然見つかることばかりです。
  • 30代女性 産婦人科
    (妊娠の)初期中期などの検査および毎回の尿検査などでひっかかって精査するパターンがほとんどです。
  • 60代男性 産婦人科
    妊娠中期に糖尿病のスクリーニングを行っており、血糖値が高い人には負荷試験を行い、診断しています。
  • 50代男性 産婦人科
    妊婦健診での初期検査での空腹時血糖が高値、家族に糖尿病がいる、尿検査で尿糖2+以上が出る、などです。
  • 50代女性 産婦人科
    最近は全例血糖検査するので比較的安心です。以前はルーチン検査でなかったので、いきなり高血糖の方がいました。
  • 50代男性 産婦人科 
    妊娠初期検査で任意の血糖値が100を超えているか、妊娠中期の50gブドウ糖チャレンジングテストで60分後140を超えていれば、75g OGTTを行い、飲む前の空腹時-60分後-120分後でそれぞれ92-180-153の基準値の2ポイント以上で基準値以上なら妊娠糖尿病と診断して対処しています。
  • 70代男性 産婦人科
    必ずしも肥満の妊婦が糖尿病ではなく、標準体重の例でも糖尿病はあります。

妊娠糖尿病は、「妊婦健診の検査で見つかる」をという意見がほとんどという結果でした。
医師のコメントによれば、昔に比べると最近の健診は早めに発見できる仕組みになっているようで、症状が出るまで見つからないということはあまりないようです。

次に、どんな人が妊娠糖尿病になりやすいのでしょうか?
産婦人科医が妊娠糖尿病の発症に関係していると感じた要因について聞いてみました。

図2

妊娠糖尿病は、家族歴・生活習慣の影響が大きい

  • 40代女性 産婦人科 「家族歴」
    妊娠して初めて分かる人が多いですが、家族歴は必ず確認するようにしていいます。
  • 40代男性 産婦人科 「家族歴」
    第一度近親者がDM(糖尿病)の場合、妊娠を契機に発症することも多い印象があります。
  • 40代男性 産婦人科 「生活習慣」
    BMIが35を超えるような方は、かなりの効率でGDM(妊娠糖尿病)と診断されるので、妊娠前の体重管理は重要です。
  • 40代女性 産婦人科 「生活習慣」
    BMIは関係なく、妊娠中の生活習慣によって発症しやすい印象があります。
  • 40代男性 産婦人科 「高齢」
    OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)は全員にしているわけではありませんが、35歳以上、家族歴あり、GDM(妊娠糖尿病)既往はすべてハイリスクとして施行しています。
  • 40代男性 産婦人科 「高齢」
    加齢に伴い発症率が上昇します。食生活も関係しています。これまでの人生でジャンクフードしか食べてこなかった人もいます。
  • 40代女性 産婦人科 「その他」
    若年でもきたしますが、遺伝的な要素も環境要素も、もちろん妊娠依存性もすべてが関与します。

調査では、家族歴・生活習慣が妊娠糖尿病に関係していると答えた医師が多く見られました。
家族歴を注意している医師は、普段の診療で問診に入れているようです。
妊娠中の不摂生や高度な肥満は、妊娠糖尿病を発症する可能性を上げてしまうようで、食事や体重は注意した方がよさそうです。
高齢と妊娠糖尿病の関連性を指摘する医師のコメントも見られました。

さて、気をつけていても妊娠糖尿病になってしまった場合、どんな合併症があるのでしょうか?こちらも聞いてみました。

図3

妊娠糖尿病で多い合併症は、巨大児

  • 50代男性 産婦人科 「巨大児」
    巨大児で、しかも肩が張っているので、児頭が出ても肩がなかなか出ない肩甲難産で苦労しました。しかし最近は、妊娠糖尿病を早めにピックアップして、糖尿病内科の先生の協力のもと、管理しているので、そのような病態はほとんどなくなりました。
  • 60代男性 産婦人科 「巨大児」
    巨大児もしくはそれに準じた子供の出産が多いです。妊娠中にうまく血糖コントロールできた例では逆に体重の少ない子もみました。
  • 40代女性 産婦人科 「巨大児」
    頻度が高いのは、これ(巨大児)です。それ以外ここに挙げられている合併症が生じないように管理をしている、のが現状と思います
  • 40代男性 産婦人科 「巨大児」
    介入が早いので、インシュリンのなかった時代に比べると大きな周産期合併症は格段に減っていると思います。
  • 60代男性 産婦人科 「巨大児」
    4000gを超え、肩甲難産が心配される例があり、超音波検査での診断が重要です。
  • 50代女性 産婦人科 「難産」
    血糖管理をきちんとすれば、発育不全や巨大児の割合は減ります。
  • 40代男性 産婦人科 「流産・早産」
    意外に、産めないような巨大児、先天奇形は経験したことは無いのですが、早産は多い印象があります。
  • 30代男性 産婦人科 「その他」
    胎児の肺の形成遅延が多いように思います。同じ妊娠週数で比較すると、新生児の一過性多呼吸が多いですね。

妊娠糖尿病の合併症で、最も多い回答は、巨大児でした。
巨大児とは、出生体重4,000g 以上の赤ちゃんを指し、難産になったり、帝王切開になりやすい合併症です。
日本産婦人科の学会誌によれば、妊娠糖尿病と診断された妊婦に積極的な治療を行うと巨大児の確率は減るようで、妊娠糖尿病になってしまった時も医師と相談して治療に専念すれば、巨大児になることを防げるようです。
参考:巨大児の取り扱いについて - 日本産科婦人科学会 

他にも胎児の発育不全や早産などに言及するコメントも見られました。

最後に、妊娠糖尿病は出産後も影響するのでしょうか?
こちらもお聞きしました。

図4

妊娠糖尿病は、出産後も影響する

  • 50代女性 産婦人科 影響する
    将来のリスクです。10年後に同じ病院に赴任したら、子癇発作をおこしていた人は高血圧、巨大児を出産したひとは糖尿病になっていました。
  • 40代男性 産婦人科 影響する
    出産後にフォローされずに、次の妊娠の際に悪化している症例がありました。完全な糖尿病になっていることもありました。
  • 50代男性 産婦人科 影響する
    長い目で見れば、母体が将来、2型糖尿病になる頻度が高いです。児については、明確な影響はわかりません。
  • 30代女性 産婦人科 影響する
    3か月後の検査時点ではOKとなることがほとんどですが、次に妊娠してきたらGDM(妊娠糖尿病)の場合も良く見るので。

妊娠糖尿病は、「出産後も影響する」と答えた医師が大半を占めました。
出産後に妊娠糖尿病が改善するケースも多いようですが、長い目で見ると本格的に糖尿病を発症してしまう方がおられるようです。
妊娠糖尿病になってしまった方は、出産後も健康診断で定期的に糖尿病の数値を確認し、食事や運動に気を配った生活を心がけることが大事そうです。

妊娠糖尿病の予防と発症には、気をつけましょう

本調査によると、妊娠糖尿病は、妊婦健診の検査で見つかる病気で、発症には家族歴・生活習慣が関係しているという結果になりました。
みられる合併症は、巨大児が多いようです。
出産後も影響するため、その後も健康診断を受けて糖尿病の数値を確認したり、食事・運動に気を配っていくことが大事そうです。

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