帝王切開の痛みやリスクは?産婦人科医150人に聞いてみました!

手術しようとする医師
今回の調査では、帝王切開は「痛みもリスクもあまりない」と回答した医師が多数派となりました。しかし、麻酔が切れたあとの痛みや様々な合併症のリスクを指摘する意見もみられました。帝王切開については医師と相談し、リスクとメリットをよく理解したうえで臨むのが良いでしょう。
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「25%」

突然ですが、この数字、何を表しているかわかりますか?

この数字は、2016年に医療機関で行われた分娩のうち、帝王切開となった件数の割合です。

さらにここ30年近く帝王切開の件数は増え続けています。

参照:厚生労働省.”平成28年度 我が国の保健統計”.2-10 医療機関における分娩件数と帝王切開手術割合の年次推移

つまり、単純計算で、1年間に出産する人の4人に1人は帝王切開ということです。

いかがでしょうか?思っていたより多くないですか?

この記事を見ている妊婦さんの1人1人にも帝王切開となる可能性はあるということです。

グラフの傾向からは、今後さらに帝王切開が行われる妊婦さんの割合が多くなっていくことも考えられます。

そんな身近になりつつある帝王切開ですが、実際リスクは大きいのか、痛みはどのくらいなのかなど、気になることはたくさんありますよね。

そこで今回は、こうした疑問を産婦人科医150人にぶつけてみました。

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年8月3日〜8月4日にかけて行われ、産婦人科医152名から回答を頂きました。

帝王切開は痛いの?

まずは、帝王切開とは、何かをおさらいしたいと思います。

帝王切開は、日本産科麻酔学会によると、以下のように説明されていました。

赤ちゃんが子宮から腟を通って産まれるお産を「経腟分娩」といいます。 何らかの理由で経腟分娩が難しいと判断されたときには、お母さんのお腹を切って赤ちゃんを取り出す「帝王切開」を行います。 現在の日本では約20%の妊婦さんが帝王切開を受けていますし、帝王切開はどの妊婦さんにも起こりうることです。

引用:帝王切開の麻酔Q&A-日本産科麻酔学会(JSOAP)-

 

ここで気になるのは、やはり帝王切開は、どれくらい痛いのか?ということだと思います。

経腟分娩は「鼻からスイカが出てくるほどの痛み」なんて例えられたりしますが、帝王切開での痛みはどのようなものなのでしょうか。

まず、当たり前ですが帝王切開では麻酔が使用されるので、痛みの本番は手術中というより手術後と考えていいでしょう。

そこで、医師に手術後に激しい痛みを訴える患者さんはどれくらいいるのかを聞いてみました。

【図1】帝王切開後に痛みを訴える割合

結果は「訴えがない」、「あまりない」という回答が6割をこえ、「ある」、「たまにある」とした回答が約4割となりました。

痛みはあまりない

  • 50代男性 産婦人科
    硬膜外麻酔が行われている場合はほとんど痛みがないです。創部のいたみよりも、むしろ子宮収縮による後陣痛を訴えることがあります。
  • 50代男性 産婦人科
    術後疼痛は持続硬膜外注入されているためほとんどありません。激しい痛みがあれはその原因究明にエコー検査をまず行います。
  • 60代男性 産婦人科
    翌日から歩行と経口摂取も開始していて、3日もすれば普通分娩の妊婦と差がなくなります。

やっぱり痛みはある

  • 30代女性 産婦人科
    硬膜外麻酔が入っていると幾分マシですが、痛みは個人差が大きいですね。痛がっていても数日でおさまります。
  • 40代女性 産婦人科
    創による疼痛の場合、術後すぐは点滴、それ以降は鎮痛薬です。感染症を疑う場合はCTを施行し、結果により抗生剤投与だったり、再手術だったりします。
  • 50代女性 産婦人科
    いまは硬膜外の入ることが多いのですが、麻酔が切れた頃に痛がります。

痛みについては個人差が大きいようですが、大体手術後に行われる硬膜外麻酔が切れたときに痛みが出てしまうようですね。

対処法としては鎮痛剤を投与するそうですが、数日間の痛みは耐えなければならないかもしれません。

ただ、医師のコメントにもありますが、手術創の痛みよりは後陣痛の痛みを訴える患者さんが多いようで、それを踏まえて考えると経腟分娩の患者さんより術後痛いとは言いきれないのかもしれませんね。

帝王切開はどのくらいのリスクがあるの?

さて、痛みに続いて気になるのが、帝王切開のリスクですよね。

手術にリスクはつきものが、それは果たしてどの程度のリスクなのでしょうか。これも医師に聞いてみました。

【図2】帝王切開の合併症リスク

合併症などのリスクは「ほとんどない・あまりない」という回答が7割を超える結果となりました。

リスクはあまりない

  • 40代女性 産婦人科
    予想外に出血を起こすことはありますが(特に前置胎盤)多くは問題ありません。次回妊娠への影響はその時にはわかりませんし。
  • 50代男性 産婦人科
    昔は伝家の宝刀といわれてイチかバチかだったそうですが、近年ではより安全に帝王切開時術が行われるようになっています。
  • 50代男性 産婦人科
    帝王切開のみで、大きな合併症が起こることはほとんどなくなりました。

リスクはある

  • 40代男性 産婦人科
    母体は出血量が若干増える傾向にあります。児は出生時に元気が無いことがあります。
  • 40代男性 産婦人科
    安易に帝王切開に走る風潮がありますが、やはり帝王切開は合併症もある危険な手術であることを認識するべきです。
  • 40代女性 産婦人科
    出血も経腟分娩よりも多くなります。児は一過性の多呼吸になりやすいです。
  • 30代男性 産婦人科
    母体は大量出血や術後出血、腹膜炎などがたまにあります。児は呼吸障害がときどきあります。

リスクがあると回答した医師の中にも、それほど高くはないという意見がありましたが、一方で上のコメントのようにしっかりリスクも意識すべきだという意見もありました。

確かに帝王切開も手術なので、絶対の保証などはありません。

ですからしっかりリスクを意識するのは大切ですが、一方で不安ばかり募らせてもよくありません。

もし帝王切開を行うのであれば、主治医と相談し、よく理解し落ち着いた状態で臨みましょう。

また、母体側のリスクとしては出血多量、児側のリスクとしては呼吸障害を挙げる医師が多かったですが、これらにより母子が大事に至るという意見は今回の調査では見られませんでした。

帝王切開経験後の出産について

最後に、一度帝王切開で出産すると、二度目以降の出産時も帝王切開になると聞きますが、本当なのでしょうか。

こちらも聞いてみました。

【図3】1度帝王切開したら次回以降も帝王切開か

今回の調査では、75%の医師が2度目以降も帝王切開になると回答しました。

以下、「帝王切開になる」と回答した医師のコメントです。

  • 50代男性 産婦人科
    まれですが、子宮破裂になると、超緊急で手術をしないといけないので、夜間など対応できないため、全例帝王切開をしています。
  • 60代男性 産婦人科
    子宮破裂などのリスクを考慮すると、人員豊富な施設でない限り、前回帝切妊婦の経腟分娩は困難です
  • 60代男性 産婦人科
    既往帝王切開で、その後再帝王切開した時、子宮頸部が薄く破裂寸前だったのをかなり経験しています。

帝王切開を一度行っていると子宮破裂のリスクがあるという意見が多数でした。医師のコメントにありますが、「再帝王切開した時、子宮頸部が薄く破裂寸前だった」というのを聞くと、この時もし経腟分娩していたら・・・と怖くなりますね。

また、「場合によっては経腟分娩できる」と回答した医師も紹介します。

  • 50代男性 産婦人科
    患者の希望が強い場合に限り、いつでも帝王切開ができるよう術前検査をしておいて経膣分娩を試みます。
  • 80代男性 産婦人科
    経膣分娩にこだわると悪い結果をもたらす事があります。

このように、帝王切開を一度行った方にあまり経腟分娩はお勧めしないようです。

今回の調査の結果から考えると、一度帝王切開を経験した場合はその次も帝王切開を行う流れが普通のようです。

帝王切開を行う際は、主治医とよく相談して!

帝王切開は確かにリスクや痛みはある程度伴います。

しかし、大切な我が子を安全に分娩するために場合によっては帝王切開という選択肢もあるということを頭の片隅に置いておいてください。

もし帝王切開を行う場合は、主治医と相談して、リスクやメリットをよく理解してから臨むようにしましょう。

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