妊娠中の貧血の時期と対応について産婦人科135名に聞きました

貧血の妊婦さん
妊娠の貧血が最も多い時期は「妊娠中期」で、次に「妊娠後期」という結果でした。貧血の種類は、鉄欠乏性貧血がほとんどでしたが、治療薬である鉄剤を飲めない妊婦さんも少なからずいるようで、その際は剤型を変更したり、注射にしたりするようです。定期的な妊婦検診を受ければ症状がひどくなる前に貧血を見つけることができ、きちんと検診を受けることが何より大事な対策のようです。
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妊娠すると体に変化が起こりますが、その1つに貧血があります。
貧血を放置すると体に負担が出てくるため、ひどくなれば日常生活に症状が出たり、お腹の赤ちゃんの発育に影響があるかもしれません。
そんな妊娠中の貧血はいつ頃起きやすく、どんな対処になるのでしょうか?
産婦人科医にアンケート調査を行いました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年7月24日から同年7月28日にかけて行われ、135名から回答をいただきました。

図1

貧血は妊娠中期に最も多く、次は妊娠後期

  • 60代男性 産婦人科 妊娠中期
    一般的には妊娠中期頃より貧血が始まります。中には過多月経のため妊娠初期に既に貧血の人もいますが、妊娠すると月経がないため、自然に改善する例もあります。
  • 60代女性 産婦人科 妊娠中期
    消化器系の副作用で鉄剤を服用できない方が結構います。サプリメントを勧めたり、どうしてもだめなら注射したり、結構大変です。
  • 40代女性 産婦人科 妊娠中期
    この時期は貧血になっても自覚症状はあるほどではないため、この時期から治療していないと分娩直前になって貧血になっています。
  • 30代女性 産婦人科 妊娠中期
    (妊娠の)後期検査で貧血と診断することが多いです。実際には希釈されるので妊娠中期に発症しやすいのではないでしょうか。
  • 50代女性 産婦人科 妊娠後期
    初期から貧血の場合もありますが、ほとんどは中期頃から少し貧血気味になり、後期に治療を要するパターンです。

妊娠の貧血が最も多い時期は「妊娠中期」で、次に「妊娠後期」という結果でした。
一般的には妊娠中期頃より貧血が始まることが多いようですが、後期で診断され、治療されるケースもあるようです。

そんな妊娠中に起こる貧血ですが、貧血のなかにも種類があるって知っていましたか?
鉄が少ない貧血、出血による貧血、葉酸やビタミンが少ない貧血など様々あるようで、妊娠の貧血はどのパターンに当てはまるのでしょうか?
こちらも聞いてみました!

図2

妊娠中の貧血は、鉄欠乏性貧血がほとんど

  • 60代男性 産婦人科 鉄欠乏性貧血
    正常妊娠なら、ほとんど妊娠貧血ですが、実質的に鉄欠乏性貧血です。
  • 50代男性 産婦人科 鉄欠乏性貧血
    実際に妊娠30週以降の胎児が急成長するあたりから、胎児の鉄分必要量が増えますので。
  • 50代女性 産婦人科 鉄欠乏性貧血
    小球性貧血でなくても妊婦は鉄のターンオーバーが亢進しているので効果がでます。
  • 40代男性 産婦人科 鉄欠乏性貧血
    鉄を足してもだめだった症例で、葉酸とビタミンB12を足したら改善した症例は経験しています。
  • 30代女性 産婦人科 鉄欠乏性貧血
    時々大球性貧血のこともあるので、漫然と鉄剤だけを処方しないようにしています。

妊娠中の貧血は、鉄欠乏性貧血がほとんどという結果でした。
医師のコメントからは、「胎児の鉄分必要量が増えるため」、「妊婦は鉄のターンオーバーが亢進しているため」と鉄が不足する原因が挙げられていました。
ただし、時々鉄だけでなく、血液をつくる成分の葉酸やビタミンB12の不足による貧血の場合もあるようで、他にも注意が必要そうです。

さて、鉄欠乏性貧血の治療は鉄剤になりますが、どうも鉄剤には吐き気やむかつきといった副作用があるようなのです。
実際、現場ではこうした副作用で鉄剤が飲めない妊婦さんっているのでしょうか?
こちらも聞いてみました!

図4

鉄剤を飲むのに苦労する妊婦さんも時々いる

  • 30代女性 産婦人科 少なかった
    錠剤がのめない方にはシロップを処方しています。シロップも飲めない場合は静注することもあります。
  • 50代女性 産婦人科 少なかった
    (鉄剤が飲めないときは)注射を打つことが多いですが、錠剤 粉 カプセル シロップなどでも対応します。
  • 60代女性 産婦人科 少なかった
    (薬の)剤型を変えます。シロップは飲めることが結構あります。
  • 70代男性 産婦人科 どちらかといえば多かった
    30%ぐらいは飲めません。モサプリド(消化管運動促進薬)併用ですとほとんどの人は内服できます。
  • 30代女性 産婦人科 どちらかといえば多かった
    (鉄剤を飲むのが難しい場合は)食事で鉄分の多いものを摂ってもらったり、市販のサプリを使用してもらいます。

妊娠中の貧血治療で、鉄剤を飲めなかった人は「少なかった」が最も多く、次に「どちらかといえば多かった」という結果でした。
やはり鉄剤を飲めない妊婦さんが少なからずいるようです。
医師のコメントからは、錠剤、粉、カプセル、シロップというように薬の形を変えて試してみたり、サプリメントや食事で補充してみたりして、それでもダメなら注射で補充という流れになるようでした。

最後に、貧血って立ちくらみとかふらふらするイメージがありますが、実際に妊娠中に貧血になったらどんな症状は出るのでしょうか?
こちらも聞いてみました!

図3

基本無症状だが、ある場合は動悸・立ちくらみ・息切れ・倦怠感

  • 40代女性 産婦人科 その他
    一般的には動悸、息切れがほとんどです。めまい、たちくらみは、たいてい検査するとヘモグロビン正常で、脳貧血と考えます。妊婦で自覚症状があるほどの貧血には出会いません。検査にひっかかってみつかるものです。
  • 40代女性 産婦人科 その他
    自覚症状がない方が圧倒的多数と思います。妊娠による身体変化により、症状は現れにくいと理解しています。妊娠中の立ちくらみと貧血の有無にはあまり関連はない印象です。
  • 60代女性 産婦人科 息切れ、動悸、めまい、倦怠感
    以前から疲労感や動悸、めまいなどあったため、我慢していたり。そんなものと思っている人も多く、採血で驚くことがあります。
  • 40代男性 産婦人科 倦怠感
    妊娠中の貧血で、本当に貧血による症状を呈している人は見たことがありません。
  • 30代女性 産婦人科 倦怠感
    立ちくらみは起立性低血圧のことが多いです。症状が出るほどの貧血はあんまりないです。

票数では、動悸・立ちくらみ・息切れ・倦怠感が上位でしたが、医師のコメントで圧倒的に多かったのは「無症状」でした。
「検診で採血をしているため症状が出るほどの状況にはならない」という医師のコメントもあり、かなり貧血がひどくならないと症状は出ないようなのです。
定期的な妊婦検診を受けることで症状がひどくなる前に貧血を見つけることができるため、きちんと検診を受けることが何よりも大事な対策のようです。

妊娠中の貧血は妊娠中期・後期に多く、鉄剤で対応

本調査では、妊娠の貧血が最も多い時期は「妊娠中期」で、次に「妊娠後期」という結果でした。
貧血の種類は、鉄欠乏性貧血がほとんどでしたが、治療薬である鉄剤を飲めない妊婦さんも少なからずいるようで、その際は剤型を変更したり、注射にしたりするようです。
貧血の症状について医師のコメントで圧倒的に多かったのは「無症状」でしたが、定期的な妊婦検診を受ければ症状がひどくなる前に貧血を見つけることができ、きちんと検診を受けることが何より大事な対策のようです。

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