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切迫早産の安静と入院について産婦人科医140人に聞きました

妊婦さん
切迫早産の安静度合いは、「家事まで」が最多という結果になりました。また、入院になることは「少ない」と答えた医師が半数以上という結果でした。ただし「2-3割の方が入院となる」という医師のコメント通り、少ないながらも切迫早産の診断を受けた方のなかでも入院となるケースがあるようです。
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切迫早産になってしまうと、まずは安静が第一と聞きます。
しかし安静といってもいろいろなレベルがあり、今までの仕事や生活との兼ね合いに悩む妊婦さんもおられるのでは?
実際に切迫早産の安静って、どの程度のものなのでしょうか?
また、私のまわりでも切迫早産になって入院となってしまった妊婦さんがいたのですが、どれくらいの方が入院になるのでしょうか?
今回は、切迫早産の安静と入院について、産婦人科医149名にアンケート調査を行いました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年7月24日から同年7月28日にかけて行われ、149名から回答をいただきました。

まずは、今回取りあげる切迫早産について確認しましょう。

日本産科婦人科学会によれば、以下のように説明されていました。

早産になりかかっている状態、つまり早産の一歩手前の状態を切迫早産といいます。子宮収縮が頻回におこり、子宮の出口(子宮口)が開き、赤ちゃんが出てきそうな状態や破水(子宮内で胎児を包み、羊水が漏れないようにしている膜が破れて、羊水が流出している状態)をしてしまった状態のことです。

切迫早産の治療では、子宮口が開かないようにするために、子宮収縮を抑える目的で子宮収縮抑制剤を使用します。また、切迫早産の原因である細菌による腟内感染を除去するために抗生剤を使用することもあります。子宮収縮の程度が軽く、子宮口があまり開いていない場合は外来通院による治療でもいいのですが、子宮収縮が強く認められ、子宮口の開大が進んでいる状態では、入院して子宮収縮抑制剤の点滴治療が必要です。

引用:早産・切迫早産:病気を知ろう:日本産科婦人科学会

つまり、早産になってしまう手前の状態を「切迫早産」というようです。

切迫早産の治療は、子宮収縮剤が使われるようで、ひどいと入院になってしまうような記載でした。

調査では、まず産婦人科医が切迫早産のときに指示する安静度は、どの程度なのか聞きました。

図3

切迫早産の安静度合いは、「家事まで」が最多

  • 30代女性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    週数によるので答えにくいところです。若い週数、頸管無力症などでは全く動かずベッド上安静、入院とします。ある程度の週数であれば、家事以外は基本的に安静を指示する程度が多いです。
  • 30代女性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    切迫早産なのに外出は好ましくないと思います。家事をしてはいけないくらいなら入院加療が必要なのではと思ってしまいます。しかし、実際のところ自己判断になってしまいます。
  • 30代女性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    子宮頸管長が十分に保たれて、それで張っている場合は、張り止めを飲んでもらいながら外出も可としています。頸管長が25mmを切った時点で、入院していただいています。
  • 50代男性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    仕事をしている方は中々理解しても休みにくい人が多く、そのために症状が悪化してしまう事も結構あります。
  • 50代男性 産婦人科 家事まではするが基本自宅内
    患者さんにできる範囲での安静を促し、それでもコントロール困難な場合は入院管理です。
  • 30代男性 産婦人科 家事はしないが寝たり起きたりの生活
    切迫の重症度にもよりますが、理想はできるだけ安静が望ましいと思います。上にお子さんがいたりすると難しい場合もありますが。
  • 50代女性 産婦人科 全く動かずベッド上安静
    全く動かずベッド上安静を指示しても、それなりに動いてしまいます。少し厳しく言っておいたほうが周りの協力を得られ安静が取れることが多いです。

切迫早産の安静度合いは、「家事まで」が最多という結果になりました。

理想はしっかりと安静を保つことだと思いますが、「上にお子さんがいたりすると難しい場合もある」という医師のコメントもあり、仕事や家庭の状況で安静が難しい場合もあるようです。

なかには、「少し厳しく言っておいたほうが周りの協力を得られる」といったコメントもありました。

「張り止めを飲んでもらいながら外出も可」とあるように、切迫早産の程度がまだそこまで重くない場合は、飲み薬が処方されるようでした。

なお、今回の設問は一般的な切迫早産の状況について聞いたのですが、「若い週数、頸管無力症などでは全く動かずベッド上安静、入院」という医師のコメントにもあるように、週数や原因によってはすぐに入院レベルの安静が必要な切迫早産の状況もあるようです。

では切迫早産がひどくなると、どれくらいの方が入院になってしまうのでしょうか?
こちらについても聞いてみました。

図4

切迫早産がひどいと点滴入院もある

  • 50代男性 産婦人科 少ない
    早期に受診していただければ安静・内服のみで落ち着くものが多いですが、炎症のきついものは急激に悪化することがあります。
  • 50代男性 産婦人科 少ない
    リトドリン(切迫流・早産治療剤)を4錠/日以上服用しても、張りが1時間に1回以上感じるようなら入院指導しています。
  • 30代女性 産婦人科 少ない
    点滴入院となることもよくありますが、内服で経過観察可能な症例の方が多いと思います。
  • 50代女性 産婦人科 少ない
    入院してしまう人は安静が取れていなかったことが多いです。
  • 60代男性 産婦人科 少ない
    (入院になれば) 子宮収縮抑制剤の持続点滴を行い症状の消失を目指します。
  • 50代男性 産婦人科 どちらかといえば多い
    入院となるかは、体質と仕事などの体への負担の兼ね合いだと思います。外来で様子見る方は、基本的に自宅安静と子宮収縮抑制薬の内服を指示していますが、それでも張りが落ち着かなかったり、頸管長が短縮する場合は入院としています。
  • 50代男性 産婦人科 どちらかといえば多い
    上に小さな子供がいて、みてくれる人がいないため入院管理できないこともあります。

切迫早産がひどいと点滴入院になることは、「少ない」という医師の意見が半数以上を占める結果になりました。

「2-3割の方が入院となる」という医師のコメントもあり、少ないながらも切迫早産の診断を受けた方の中で入院となるケースがあるようです。

また、切迫早産では、外来で切迫流・早産治療剤(子宮収縮抑制薬)の服用を開始し、それでも難しい場合は点滴を行うといった意見が多くみられました。

入院のタイミングについては、「頸管長短縮傾向あれば入院加療を勧める」や「切迫流・早産治療剤を4錠/日以上服用しても、張りが1時間に1回以上感じるようなら入院指導」といった目安を示していた医師もいましたが、「医師の経験と慎重さによって変わります」「患者さんの希望次第です」といったコメントもあり、医学的所見、医師の経験、社会的な要因、ご本人の希望など踏まえて総合的に判断されるようです。

切迫早産は周りの協力を得て安静に。ひどいと入院になることも

本調査では、切迫早産の安静度合いは、「家事まで」が最多という結果になりました。

理想はしっかりと安静を保つことだと思いますが、医師のコメントを見る限り、仕事や家庭状況によって難しい妊婦さんもおられるようです。周りの協力が大事な状態と言えるでしょう。

また、入院になることは「少ない」と答えた医師が半数以上という結果でした。

ただし「2-3割の方が入院となる」という医師のコメント通り、少ないながらも切迫早産の診断を受けた方の中で入院となるケースがあるようです。

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