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妊娠高血圧症候群のリスク、症状、合併症とは?産婦人科医150名にアンケート調査

妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群は、もともと高血圧や腎臓病など基礎疾患がある方、以前妊娠高血圧症候群になったことがある方がなりやすいようです。また症状は浮腫を挙げた医師が多く、次に無症状、頭痛、体重増加という順でした。合併症は、常位胎盤早期剥離、HELLP症候群、子宮内胎児症候群、痙攣など様々なものがあり、重症化を防ぐために早めの対処と慎重な対応が重要な病気のようです。
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妊娠高血圧症候群と聞くと、妊娠中に血圧が上がるのかな?と思いますよね。
日本産科婦人科学会によれば、以下のように書かれていました。

妊娠20週以降産後12週までに高血圧を発症した場合、妊娠高血圧症候群といいます。
さらに、高血圧のみの場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類されます。(中略)
妊娠高血圧症候群ではお母さんと赤ちゃん共に大変危険な状態となることがあります。
引用:妊娠高血圧症候群 日本産科婦人科学会

このように、はじめの文だけ読むと妊娠20週以降に高血圧になった病気だな程度に捉えがちですが、最後の文にもあるように、妊娠・出産に際して重大な影響をもたらす病気のようなのです。

今回は、そんな妊娠高血圧症候群のリスクや症状、合併症などを産婦人科医にアンケート調査を行いました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年7月31日から同年8月2日にかけて行われ、154名から回答をいただきました。

まずは、どういう方が妊娠高血圧症候群になりやすいのか?
その原因・リスクについて聞いてみました。

図1

基礎疾患や既往があると妊娠高血圧症候群になりやすい

  • 60代女性 産婦人科 
    基礎疾患があると、発症妊娠週数が早く、重症化しやすく、胎児が生存する時期まで妊娠継続できないことも多々あります。基礎疾患が十分コントロールできていることが妊娠の許可には必須です。
  • 60代男性 産婦人科 
    妊娠7か月頃から、徐々に血圧が上昇する妊婦と、10か月で突然血圧が上昇する妊婦さんがいらっしゃいます。
  • 30代男性 産婦人科
    悪くなりはじめると急激に悪化するため、帝王切開のタイミングはなるべく早く設定が望ましいです。
  • 50代男性 産婦人科
    高齢妊娠・出産が増えてきたことと、肥満が増えてきたことが大きいと思います。
  • 80代男性 産婦人科
    (妊娠高血圧症候群のリスクがある方は)高齢初産婦、多胎妊娠、高血圧既往、前回子癇があったなどですね。

調査からは、高血圧、腎臓病などの基礎疾患を持つ方や妊娠高血圧症候群の既往がある方は、妊娠高血圧症候群になりやすいという結果が出てきました。
その他、高齢出産や肥満も妊娠高血圧症候群のリスクになるといった指摘もありました。
「基礎疾患が十分コントロールできていることが妊娠の許可には必須です」という医師のコメントの通り、妊娠を希望される女性の方で持病をお持ちの方は、前もって治療して状態を安定させておくことが大事そうです。

次に、妊娠高血圧症候群の症状について聞きました。

図2

無症状も多いが、浮腫、頭痛など症状があるときは注意!

  • 80代男性 産婦人科 浮腫
    まず足に浮腫があれば、妊娠高血圧症を注意して、血圧が高くなり、体重増加が多いときには安静・減塩食の指導をしました。あまり薬は出しませんでした。
  • 40代男性 産婦人科 浮腫
    妊娠高血圧はやはり36週前後の発症が多いと思います。急にむくんだ場合や、血液濃縮の出現には注意しています。
  • 60代男性 産婦人科 浮腫
    (妊娠高血圧症候群の方で)蛋白尿の増加、血圧の上昇、が急激に起こり緊急帝王切開を行ったことが一年に数回あります。
  • 60代男性 産婦人科 浮腫
    浮腫、体重増加は危険因子です。また、頭痛、目の前のちらつきは、子癇前症状になります。
  • 30代女性 産婦人科 浮腫
    浮腫んでくると、その時点では血圧が高くなくても転がり落ちていくことが多いですね。
  • 50代男性 産婦人科 無症状
    高血圧や蛋白尿などは特に症状にでません。やはり、定期の妊婦健診でチェックすることが大事です。
  • 60代男性 産婦人科 無症状
    無症状の事が多く、自覚症状が出るくらいになると危険水準に入っている事が多いと思います。
  • 60代男性 産婦人科 無症状
    無症状のまま検診で、発見されることが多いです。症状が出てからでは入院加療です。
  • 50代男性 産婦人科 頭痛
    前回既往症例を含め、リスク高そうな症例には頭痛にも気を付けるように告げています。

妊娠高血圧症候群の症状は、浮腫を選んだ医師が最も多く、次に無症状、頭痛、体重増加という順になりました。
無症状である理由は、妊婦検診の項目の血圧測定や尿検査で蛋白尿が出ていることで発見されることが多いからのようです。
しかし、「浮腫、体重増加は危険因子」「頭痛、目の前のちらつきは、子癇前症状」という医師のコメントがあり、浮腫や頭痛など自覚症状が出る時は、妊娠高血圧症候群のなかでも注意が必要な状態のようです。
無症状でも油断せず、重症化しないような心がけが妊婦さんの方にも必要な病気と言えるでしょう。

最後に、これまでの臨床の経験から、妊娠高血症候群の方がどんな合併症になったのかを聞きました。

図3

妊娠高血圧症候群は様々な合併症を引き起こす

  • 30代男性 産婦人科 
    切迫早産34週で母体搬送されてきたら常位胎盤早期剝離でした。緊急帝王切開をしましたが、その後の採血でHELLP症候群も合併していました。
  • 60代男性 産婦人科 
    HELLP症候群の例だと、突然の強い腹痛で来院され、一刻の猶予もないような状況でした。冷や汗ものでした。
  • 60代男性 産婦人科 
    胎児機能不全で赤ちゃんがしんどくなると伝えても、(お母さんに)実感のないことがあります。
  • 40代男性 産婦人科 
    不妊治療により妊娠した高年妊娠が、妊娠高血圧症候群からHELLP症候群を発症し、妊娠27週で緊急帝王切開術をした症例を経験しました。
  • 60代男性 産婦人科 
    高血圧の管理が不十分であれば、子癇などの重大な症状の発現につながります。

妊娠高血圧症候群は、常位胎盤早期剥離、HELLP症候群、子宮内胎児症候群、痙攣など様々な合併症を引き起こすことがわかりました。
医師のコメントからは、読んでいて大変な状況が伝わってくるような重篤な事例が紹介されており、妊娠高血圧症候群がひどくなるとここまで危険なのかと思うものばかりでした

妊娠高血圧症候群にはくれぐれも注意を

本調査によれば、妊娠高血圧症候群は、もともと高血圧や腎臓病など基礎疾患がある方、以前妊娠高血圧症候群になったことがある方がなりやすいようです
また妊娠高血圧症候群の症状については、浮腫と回答した医師が最も多く、次に無症状、頭痛、体重増加という順でした。
合併症では、常位胎盤早期剥離、HELLP症候群、子宮内胎児症候群、痙攣など様々なものがあり、医師からも重篤な状態の経験が紹介されていました。
妊娠高血圧症候群には、早期に対処し、かつ慎重に対応するのが重要そうです。

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