常位胎盤早期剥離は、危険な病気?産婦人科150名に聞いてみた

具合の悪い女性
常位胎盤早期剥離になるリスクは、妊娠高血圧症候群が最も多く、次に常位胎盤早期剥離の既往、喫煙という結果になりました。症状は、腹痛と回答した医師が最も多く、次に不正性器出血が挙げられました。常位胎盤早期剥離は母子ともに危険な病気であり、帝王切開になることがほとんどのようです。
妊娠・出産・不妊の悩み
イシコメ運営事務局 イシコメ運営事務局

皆さんは、常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)という病気を聞いたことがありますか?
日本産科婦人科学会の資料には、以下のように定義されていました。

常位胎盤早期剥離(早剥と略)は突然に発症し,急激に進行する母児共に生命の危険を及ぼす緊急疾患である.周産期に大出血を来す疾患の中でも,DIC を発症する頻度が極めて高く,また重症化しやすいので,できる限り早期に診断し,対策を講じる必要がある.

引用:胎盤早期剥離の成因とその管理- 日本産科婦人科学会

このように、突然発症し、急に容態が悪くなってしまうお母さんにも赤ちゃんにも危険をもたらす病気のようなのです。
今回は、そんな常位胎盤早期剥離の実態にせまるアンケート調査を産婦人科の医師達に行いました!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイト「MedPeer(https://medpeer.jp/)」にて2017年7月31日から同年8月2日にかけて行われ、154名から回答をいただきました。

リスクは、妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離の既往、喫煙など

  • 50代男性 産婦人科
    やはり子宮収縮は原因となります。破水して子宮内圧に変化があると剥離することもあります。常位胎盤早期剥離は胎児胎盤の循環不全が関係しているため、胎児発育不全も高率に合併します。胎児発育不全がある場合は常位胎盤早期剥離の可能性が高いと考えて診療しています。
  • 60代男性 産婦人科
    今まで産婦人科をやっていて 常位胎盤早期剥離があったのは 数例だったと思いますが、早く手術をしないと命にかかわりますので、特に注意していました。
  • 60代女性 産婦人科
    妊娠高血圧がなくても常位胎盤早期剥離が起こるケースもありますが、やはり絡んでいることが多いような印象があります
  • 50代男性 産婦人科
    具体的な根拠はないですが、上司から言われ、観察しているとやはり喫煙はよくなさそうです。

常位胎盤早期剥離になるリスクは、妊娠高血圧症候群が最も多く、次に常位胎盤早期剥離の既往、喫煙という結果になりました。
「常位胎盤早期剥離は胎児胎盤の循環不全が関係しているため、胎児発育不全も高率に合併します」というコメントや「早く手術をしないと命にかかわります」というコメントも見られ、母子ともに危険な病気であることがわかります。

次に、常位胎盤早期剥離とわかるのは妊娠でもどの時期が多いのでしょうか?
こちらもお聞きしました。

図2

常位胎盤早期剥離は、妊娠後期に確定することが多い

  • 60代男性 産婦人科 妊娠36〜39週
    重症の妊娠高血圧症は別として、いきなりの早剥と言うのは、この辺りが多いと思います。
  • 30代女性 産婦人科 妊娠36〜39週
    早い週数でいきなり、ということもありますが、頻度としては満期(少なくとも37週を経た分娩)が多いかと。
  • 40代男性 産婦人科 妊娠36〜39週
    満期(少なくとも37週を経た分娩)が多いですが、33週未満でも呈することがあり、予後不良です。
  • 30代男性 産婦人科 妊娠32〜35週
    切迫早産との鑑別が必要だと思うケースが多々あります。36週以降の常位胎盤早期剝離は娩出直前で発症が多いような気がします。
  • 40代男性 産婦人科 妊娠32〜35週
    もちろん、満期もありますが、少し早産くらいの時期が一番多い気がします(あくまで感覚として)

常位胎盤早期剥離が確定するのは、妊娠36〜39週と妊娠32〜35週という回答が多く、全体として妊娠後期に見られるという結果になりました。
「満期が多い」という医師のコメントもありましたが、人によっては早い週数で見られることもあるようです。

そんな常位胎盤早期剥離ですが、どんな症状で見つかるのでしょうか?

図3

常位胎盤早期剥離の症状は、腹痛、不正性器出血

  • 60代男性 産婦人科 腹痛
    陣痛の痛みではなく、持続的な痛みが続く場合は常に、常位胎盤早期剥離を疑い(念頭に置いて)診療を行っています。
  • 30代女性 産婦人科 腹痛
    持続的な腹痛と板状硬の子宮がみられることが多いです。受診のきっかけは胎動減少と持続的な腹痛が多いです。
  • 50代男性 産婦人科 腹痛
    板状硬(ばんじょうこう)といって、本人も相当痛がるような持続的な子宮収縮が典型例です。
  • 60代男性 産婦人科 不正性器出血
    出血で見つかる事が多いです。出血で受診してモニターで児心音異常、緊急帝切で早剥判明、このパターンが一番多いと思います。
  • 60代男性 産婦人科 不正性器出血
    出血と、腹痛が半々くらいと思います。外出血がない症例では血腫形成し腹痛が強いように思われます。

常位胎盤早期剥離の症状は、腹痛の回答が最も多く、次に不正性器出血が挙げられました。
板状硬(ばんじょうこう)という持続的な子宮収縮が見られるようで、陣痛とは異なる、かなりひどい腹痛が特徴のようです。
胎動の減少や出血も伴うこともあるようで、こうした症状を認めた場合は医師に相談するのが重要そうです。

さて、ここまで見ても大変なことが伝わってくる常位胎盤早期剥離ですが、最後は帝王切開になるのでしょうか?
こちらも聞いてみました!

図4

常位胎盤早期剥離は帝王切開になることがほとんど

  • 50代男性 産婦人科 ほとんどなる
    帝王切開を選択しなかった場合は予後が悪いと判断ミスとなる可能性があるので、無理せず帝王切開にしています。
  • 40代女性 産婦人科 ほとんどなる
    来院時に既に胎児死亡になっていない限りは、帝王切開を選択することがほとんどです
  • 50代男性 産婦人科 ほとんどなる
    あまり早剥を経腟で出した経験はありません。(部分早剥のようなものは別にして)
  • 50代男性 産婦人科 多い
    すぐに分娩になりそうなときは経腟分娩になりますが、帝王切開になることが多いです。

常位胎盤早期剥離は、帝王切開になることがほとんどという結果になりました。
「常位胎盤早期剥離の診断がつけば、ほぼ帝王切開」というコメントが多数を占めており、経膣分娩になるケースはあまりないようでした。
「胎児死亡」という言葉も見られ、大変危険な病気であることが伝わってきます。主治医とよく相談することが大事そうです。

常位胎盤早期剥離は、母子ともに危険な病気

本調査によれば、常位胎盤早期剥離になるリスクは、妊娠高血圧症候群が最も多く、次に常位胎盤早期剥離の既往、喫煙という結果になりました。
症状は、腹痛の回答が最も多く、次に不正性器出血が挙げられました。
常位胎盤早期剥離は母子ともに危険な病気であり、帝王切開になることがほとんどのようで、主治医とよく相談することが大事そうです。

ツイート
この記事の著者

関連する記事