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逆子を治す方法は?婦人科医140人に聞いてみました

女性のお腹
逆子を治す方法として医師に最も支持されたのは「逆子体操」で、次に「外回転術」でした。どうも逆子を治す方法は一長一短があるようで、いまのところ確実な方法はなさそうです。帝王切開も安全に行うことができるため、方針については主治医とよく相談しましょう。
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――妊娠30週、今まで順調だったのに、病院に行ったら突然「逆子ですね。」と言われた・・・。

こんなことがあると不安になりますよね。

「突然逆子だなんて言われても、どうしたらいいかわからない」
「いろんな治し方があるみたいだけど、どれが一番効果あるんだろう」
「逆子の場合は帝王切開になるって聞いたけど・・・」

などなど、考え出すときりがないと思います。

そこで今回は、逆子になったらどうするべきか?予防法はあるのか?など気になるところを産婦人科医に聞いてみました。
逆子になった際の対処方法を知り、不安を解消しましょう!

※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2017年7月24日〜7月28日にかけて行われ、産婦人科医149名から回答を頂きました。

目次

1.逆子とは
2.逆子を治す方法
3.逆子の予防ってできるの?
4.逆子でもあまり心配しすぎないで

逆子とは?

まずは、「逆子とは何か?」を簡単にご説明したいと思います。

逆子は、正式には骨盤位といい、胎児の頭の向きが下ではなく上を向いてしまっている状態を指します。
実は赤ちゃんは子宮の中をくるくる回っているので、妊娠初期や中期に一時的に骨盤位になっていることがあります。

つまり、骨盤位であること自体は赤ちゃんにとってはそれほど悪影響を及ぼすものではないようです。

問題は、妊娠後期、赤ちゃんが大きくなってきて、子宮内に回転するスペースがなくなってからも骨盤位の状態のままだった時です。
この場合、そのまま出産となれば赤ちゃんは足のほうから出てくることになり、経腟分娩で足や腕が引っかかってしまったりすると分娩がとても難航することもあるそうです。

そうなれば、母子ともに体への負担が大きくなり、危険なこともあるので、王切開による分娩を行います。

参照:骨盤位(逆子) - 専修大学学術機関リポジトリ

しかし、妊婦さんの中には何とかして逆子を治して、経腟分娩での出産にできないか?と考える方もおられると思います。
そこで、今回は医師に逆子の治し方について、有用な方法はあるのか聞いてみました。

逆子を治す方法

まずは巷でよく言われているいくつかの逆子の治し方について、産婦人科の医師が考える、効果があると思う治療法(複数回答可)について聞きました。
結果は、以下の通りです。

図1

「逆子を治すのに有用な何らかの治療方法がある」とした回答が約8割を占め、「特にない」とする回答が約2割という結果になりました。

それぞれ、治療法について見ていきましょう。

逆子体操

治療法として、今回一番の支持を得たのが「逆子体操」でした。

  • 40代女性 産婦人科
    逆子体操から指導して、改善しなければ希望の妊婦に外回転術を行います。
  • 70代男性 産婦人科
    逆子体操が無効という人もいますが、この体操で治れば何もしないよりいいと思います。これ以上の処置はしません。
  • 40代女性 産婦人科
    逆子体操で戻る症例は、自然に戻る気もしますが、妊婦の自覚を促すためにも行なっています。
  • 50代女性 産婦人科
    何もしないのは患者の気がすまないというとき、逆子体操を指導します。34週になっても骨盤位が治らないときは一縷ののぞみを外回転術にかけます。

このように「逆子体操」を選択した医師の中でも、様々な意見が見られました。
特に多かったのは「逆子体操から始めて治らなければ外回転術を行う」という意見でした。
一方で、逆子体操はあまり効果がないというコメントもありました。
逆子体操を行って必ずしも治るわけではないので、過度な期待はせず、無理のない範囲でやるようにしましょう。

外回転術

次に、外回転術です。
調査でも、「逆子体操がダメなら外回転術を試す」というコメントが多くみられましたが、そもそも外回転術とはどんなものなのでしょうか?

ある医療機関のホームページに外回転術の具体的な方法が説明されているので、そちらをご紹介します。

妊婦様に仰向けに寝て頂き、頭側を下げ下肢側を挙上し、胎児が母体頭側に上がるような体勢をとります。
また、手技前からお腹の張り止めの薬を点滴投与させて頂き、子宮筋の緊張を和らげて胎児を回転させやすくします。
また、同時に麻酔をかけて(無痛分娩や帝王切開の時と同様の麻酔法です)腹筋の緊張を和らげて回転しやすくさせています。
張り止めの点滴と麻酔は現在では全例に行っています。
術者(1~2人)が超音波で胎児の向きを確認し、胎児の頭部と臀部にあたる部分を経母体的に把持し、児を前回り(場合により後ろ回り)になるように回転させ頭位に矯正します。
骨盤内に児の臀部がはまりこんでいるケースでは、場合により内診して児の臀部を持ち上げた上で回転させます。おおむね手技に伴う時間は2-3分、長くても一回の手技は10分程度です。

引用元:国立研究開発法人 国立成育医療研究センター

つまり、手でお腹を圧迫して、赤ちゃんを回転させようとするもので、いくらかの痛みは伴いますが、他に比べると成功率が高そうな方法ともいえます。
この外回転術について、医師の意見を見てみましょう。

  • 80代男性 産婦人科
    お腹の赤ちゃんが妊婦の骨盤に入ってしまっている場合、安静にしてもらって胸を低く骨盤を高くする運動をしてもらい、1週間後に来院してもらって外回転します。できるだけ外回転して直らなければ骨盤娩出術を行います。妊娠8か月位は自然に直る可能性があるので様子をみます。
  • 50代男性 産婦人科
    外回転術をされない先生も多いですが、あまり無理せずに回るならやってみる価値はあると考えてやっています。6~7割は回ります。
  • 60代男性 産婦人科
    外回転術は余り強くすると胎盤剥離のリスクが指摘されており、あまりしつこくはしないことにしていました。
  • 50代男性 産婦人科
    外回転術は効果がありますが、リスクもあるので私は行っていません。

外回転術は、他の方法に比べて医学的な根拠があり、成功も期待できるというメリットがあるようです。

一方で、医師のコメントでも指摘されている通り、外回転術は胎盤剥離などの合併症を引き起こしてしまうリスクもあるといわれています。

また、外回転術を行っている病院はそう多くはないようで、もし施術を受けることを検討されているのであれば、主治医とよく相談したうえで決定するようにしてください。

また、寝方については「指導はするが効果はあまりないと思う」とする意見がほとんどだったので、ここでは割愛します。

鍼灸マッサージ

得票数は少なかったのですが、興味深い意見として、鍼灸マッサージがありました。
医学的な根拠がないという意見もある一方で、以下のようなコメントが見られました。

  • 50代男性 産婦人科
    鍼灸は、エビデンスはないですがやった人の多くはなぜか治っています(勧めてはいませんが)。
  • 30代女性 産婦人科
    妊婦さんご自身が針灸を行い、ご自分で骨盤位を直していました。
  • 50代男性 産婦人科
    鍼治療で骨盤位が治ったのを聞いたことがありますが、理屈はよくわかりません。
  • 60代男性 産婦人科
    鍼は意外に効くことがありますが、本当に鍼で頭位になったのかと言う証明が難しいです。

なんと、鍼灸で逆子が治ったという事例を経験されている医師が何人もいたのです!
本調査に協力してくれた医師はたまたまそういう経験のある方が多かったのかもしれませんし、コメントにもある通り鍼灸で治ったという証明はできないかもしれません。

しかし、なんだかこの結果は見過ごせないですよね。

もちろん鍼灸は、逆子が治ると保証されるものでもありませんが、やってみる価値はあるかもしれませんね。

ここまでいろいろな方法を見てきましたが、最後に「特にない」を選択された医師の意見を見てみましょう。

  • 50代男性 産婦人科
    骨盤位でも週数が進むとおおかた頭位になってきます。昔、外回転術もしたことありますが、頭位になっても胎児の心音が下がって、ひやひやした経験があります。帝王切開の技術や周辺技術も発達している現在、帝王切開を躊躇することはありません。
  • 60代女性 産婦人科
    自分の第一子も骨盤位で、いいといわれるありとあらゆることを試しましたが、まったく効果ありませんでした。
  • 50代男性 産婦人科
    外回転術で胎児脳死になった症例を診たりすると、外回転術はやりたくないです。正直な話、逆子体操とか鍼の類はケースコントロール研究がありません。

※この場合の「ケースコントロール研究がない」とは、簡単に言えば「逆子体操や鍼灸を行うことで逆子が治る科学的根拠は示されていない」ということです。

「特にない」を選んだ医師のなかでは、「医学的根拠がない」、「無理に治すより帝王切開を行う方がよい」、「医師自身の妊娠時に試してダメだった」など慎重な意見もみられました。
このため、逆子体操などを試す場合は、あまり過度な期待をせず、「治ればいいな」程度にゆったりと構えるのがよさそうです。

逆子の予防ってできるの?

ここまで見てきて、逆子の対処法はなんとなくわかったけど、そもそも逆子にならない方法はないの?と思った方もいるかもしれません。
これも医師に聞いてみました。

図2

なんと・・・残念なことにほとんどの医師が「予防法はない」とする結果となりました。
コメントも見てみましょう。

  • 50代男性 産婦人科
    胎盤の位置や妊婦の骨盤の形態なども、微妙なところで関係してきますので、予防法というものはないと思います。
  • 50代女性 産婦人科
    あれば大発見でしょう。そもそもなぜ頭位になるか解明されていないので
  • 50代男性 産婦人科
    エビデンスのある予防法があるなら、こちらが聞きたいくらいです。

このように、今のところ骨盤位の予防には、これといった有効な方法はないようです。
娠初期のお母さんや、これから赤ちゃんがほしいと考えている方は、そんなに逆子に過敏にならず、赤ちゃんの様子を見守ってあげましょう。

逆子でもあまり心配しすぎないで

逆子を治すために逆子体操が有効とした医師の回答が一番多かったですが、医学的な根拠はないとする意見も見られました。
また、外回転術も、医学的根拠があるとして支持を得た一方で胎盤剥離などを引き起こすリスクが指摘されました。

以上から、逆子を治す方法はどの方法も一長一短であり、これで必ず治るというものはなさそうです。

逆子体操など試す場合は、あまり過度な期待をせず、「治ればいいな」程度にゆったり構えましょう。
もし逆子が治らず帝王切開になることが不安な場合は主治医に相談し、不明点のないように準備しましょう。

帝王切開についてはよろしければこちらの記事も参考にしてみてください。

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